September 24, 2011

新日本フィル 音楽夜会“指環伝説”

アルミンク指揮新日本フィルのサントリー定期を聴いてきた。
久しぶりのサントリーホール、客の入りは8割くらいか。

前半はベートーヴェン交響曲第1番。
ティンパニーが小さめだったけど古楽器?
テンポは思ったほど速くなく、オーソドックスな演奏。
木管の音色が気持ちよくて、
もう少しで眠りに入るところだった。

メインのワーグナーは、
上演するのに4日間かかる楽劇「ニーベルングの指環」を
1時間の管弦楽に編曲したという珍しい曲。
歌が無いのでさみしいが、
集約されたワーグナーラサウンドは聴き応え十分。

指環を聴きなれていない人でも楽しめるが、
聴き込んでライトモチーフが理解できる人なら
もっと楽しめるだろう。
同伴した長女と妻は前者。
でも事前にこの編曲版を聴きながら
指環のどの場面かをレクチャーしておいたので
ストーリー性も理解でき、
迫力あるオーケストラサウンドを十分に堪能したようだ。

最初のホルンのキズに引きずられて
ホルン全体のアンサンブルが乱れたのは残念だったが、
全体としてはバランスの取れた見事な演奏だったといえる。

●新日本フィルハーモニー交響楽団 #483 定期演奏会
 音楽夜会“指環伝説”。
 ワーグナー・サウンドが誘う、闇のファンタジー
 '11.9.15 サントリーホール 2階Cブロック4-17

指揮:クリスティアン・アルミンク

ベートーヴェン/交響曲第1番ハ長調
(休憩)
ワーグナー作曲(ヘンク・デ・フリーヘル編)/
『ニーベルングの指環』~オーケストラル・アドヴェンチャー

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September 01, 2011

ディエゴ・マテウス指揮サイトウ・キネン・オーケストラ

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初回から18年間続けて足を運んでいたサイトウキネンフェスだが、
ここ2年は諸事情によりお休みをしていた。
しかし今年はベネズエラ出身の27歳の指揮者、
ディエゴ・マテウスの日本デビューにどうしても立ち会いたくて、
初日のチケットを購入した。

前から2列目という、指揮者の横顔がよくわかる願ってもない席。
まず1曲目はチャイコフスキーの「ロメジュリ」。
両家の諍いを表す第一主題での金管や打楽器の迫力に、
早くも心臓がばくばくしてきた。

次はピーター・ゼルキンとの共演で、
バルトークのピアノコンチェルト3番。

このピアニストは見た目、とても神経質そう、
おびえるような表情で演奏する。
しかし演奏が始まるやいなや、
そのリリカルで透明感のある音色に魅了された。
特に第二楽章の美しさには酔わされた。

休憩後のチャイコフスキー交響曲4番。
管楽器のパートは、斎藤秀雄先生と直接関係のなさそうな外国人が目立つ。
多くが小澤人脈で集められた腕利きなのだろう。
ここぞというときのパワーは、
今までに聴いてきたチャイ4の中でもダントツ。

ピチカートの3楽章から、
間髪入れずに4楽章が始まると
クライマックスまで怒濤のようにぐいぐいと
このスーパーオケを引っ張っていった。
恐るべし27歳!
多少荒い部分も目についたが、
オーケストラの醍醐味を十二分に味わえた2時間だった。

松本まで行ってよかった。
こんなにわくわくする指揮者はチョン・ミョンフン以来かな。

●サイトウ・キネン・フェスティバル松本
 ~オーケストラ・コンサート~
 '11.8.26 長野県松本文化会館大ホール 1階3列36番  

演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:ディエゴ・マテウス
ピアノ:ピーター・ゼルキン

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
バルトーク:ピアノ協奏曲第3番ホ長調
(休憩)
チャイコフスキー:交響曲第4番へ長調 作品36

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May 25, 2011

METライブビューイング「カプリッチョ」

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ちょっと前に見てきた
METライブビューイングのレビュー。

R.シュトラウスの「カプリッチョ」。
劇中劇で、内容も音楽も比較的地味、
ドラマチックな場面には乏しいオペラ。
しかし、二重唱、四重唱、八重唱と
多様なアンサンブルには圧倒された。
特にルネ・フレミングの存在感はさすが。

途中、イタリアオペラ風の二重唱や、
コミカルなバレエの場面が。
プロンプターの登場も大サービス。
長いアリアのあと、静かに幕を閉じるのは
いつものR.シュトラウス。
貧のいい大人のオペラといった印象。

2時間50分弱、休憩無しは少々辛かった。
また高齢の観客が多く、
途中でトイレに行く人が少なくなかった。

今シーズンのライブビューイング、
残すところは、イル・トロヴァトーレとワルキューレ。
どちらも大好きな演目なので見逃せない。

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May 09, 2011

METライブビューイング「オリー伯爵」

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METライブビューイングの「オリー伯爵」を見てきた。

ロッシーニの晩年のオペラで、
ほとんど上演されることはない。

フローレス、ダムラウ、ディドナートの
主役3人が素晴らしい。
有名なアリアはないのだが、
重唱や合唱では鳥肌が立ちっ放しだった。

劇中劇という設定で、演出はオーソドックス。
見どころは女性たちの衣装。
赤やピンクを基調とした品のいい色合いのドレス、
帽子、髪型など、
見ていて飽きなかった。

2幕になると、侍たちのガーターベルト姿も登場し、
大人向けの演出になってくる。
適度に下品なのもいい。

オペラは初心者という方にも
自信を持っておすすめできる作品。
上映は今週金曜まで。
ぜひお見逃しのないよう。

次回のライブビューイングは
来週末からR.シュトラウスのカプリッチョ。
その後はイル・トロヴァトーレ(ヴェルディ)、
ワルキューレ(ワーグナー)とポピュラーな作品が続く。

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January 23, 2011

東京フィル第59回オペラシティ定期

久しぶりに大野和士が聴けるというので期待していたら、
2日前に指揮者が変更のお知らせが新聞に載った。
頚椎の状態が悪くなって
ドクターストップが掛かったとのこと。
失望感を抱きながら会場へ足を運んだ。

望月京に委嘱した作品「むすび」は
よくわからないのでパス。

2曲目のショスタコーヴィチ6番は
実演で聴く機会の少ない作品。
緩徐楽章から始まる3楽章構成というのは珍しい。
1楽章は印象が薄かったが、
2・3楽章ではショスタコーヴィチらしいメロディ、リズムが登場する。
表情豊かな東フィルの演奏が印象的だった。

休憩をはさんでプロコフィエフ5番。
大好きな曲のひとつ。
どの楽章も仕掛けがあって、
視覚的にも楽しめる曲。
この日は少々単調に感じたが充実した演奏だった。

総じて、オケの質の高さに感心した。
普段、名古屋フィルを中心に聴いているだけに、
キレの良さや見事なアンサンブルには
目を見張るものがあった。

突然の指揮者交代ということで、
オケのメンバーも普段以上に気合いが入っていたのだと思う。
この日は東京出張の最終日で、
私としては相当疲れていたのだが
無理して足を運んだ甲斐があった。

●第59回東京オペラシティ定期シリーズ
 '11.1.13 東京オペラシティコンサートホール 座席:2階L2-42

演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:渡邊一正

望月 京/むすび
※新作・世界初演
※東京フィルハーモニー交響楽団100周年記念委嘱作品
(休憩)
ショスタコーヴィチ/交響曲第6番ロ短調
プロコフィエフ/交響曲第5番変ロ長調

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December 28, 2010

金聖響/シエナ 各務原公演の前売り始まる

来年3月20日に開催される
金聖響指揮シエナウインドオーケストラの各務原公演。
チケットが発売になった。
価格は何と、S席3,000円、A席2,000円、
しかも高校生以下は半額。
まだ余裕があるみたい。

■日時
3月20日(日) 午後3時開演(午後2時開場)

■会場
各務原市民会館(同市蘇原中央町2)

■曲目
祝典序曲/ショスタコーヴィチ
展覧会の絵/ムソルグスキー
<SIENA on POPS!!>
ゲストトーク:真島俊夫(作曲家)作編曲作品の世界
宝島〜オーメンズ・オブ・ラブ〜各務原スペシャルバージョン!
タイム・トゥ・セイ・グッバイ
スター・ウォーズより 他

http://www.city.kakamigahara.lg.jp/new_topics/20101224155801.html

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December 22, 2010

名古屋フィル 第375回定期演奏会

名古屋フィルの第375回定期演奏会を聴いてきた。
指揮は、昨年エルガー交響曲第2番で、
艶のある演奏を聴かせてくれた尾高忠明。

吉松隆「朱鷺によせる哀歌」に関しては
よく分からないのでノーコメント。
中央にピアノを置いた配置が面白かった。

レスピーギ「ローマの噴水」 は
情景描写が巧みな演奏。
第4曲の鐘の音とともに静かに終わるラストは
息が詰まるほど美しかった。

休憩後のラフ2。
どの楽章も素晴らしい。
名古屋フィルってこんな音出すんだと再認識した。
驚くほど色艶のある音色だった。
アンサンブルも各パートのソロもほぼ完ぺき。
ロマンチックな3楽章にしびれ、
弾けるような終楽章には興奮。
今まで聴いた名古屋フィルの演奏の中でも
最高の部類に入る名演だった。

熱狂的なカーテンコールが
この日の出来を物語っていたのではないだろうか。

演奏は収録されており、
来年早々にNHK-FM「FMシンフォニーコンサート」で
放送されるという。
これは楽しみ。

●名古屋フィルハーモニー交響楽団第375回定期演奏会 『ローマ』
 '10.12.17 愛知芸術劇場コンサートホール 座席:3階1列53

指揮:尾高忠明

吉松隆/朱鷺によせる哀歌
レスピーギ/交響詩「ローマの噴水」
(休憩)
ラフマニノフ/交響曲第2番ホ短調

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November 29, 2010

ミョンフン/東京フィル岐阜公演

チョン・ミョンフン指揮東京フィルハーモニー交響楽団の
岐阜公演を聴いてきた。
会場は定員約700人という小規模のサラマンカホール、
プログラムはモーツァルトの後期三大交響曲。
この規模のホールでマエストロの指揮が見られるのは滅多にないためか、
チケットは前売りで全席完売の大入り。

マエストロの指揮は20回近く見ているが、
モーツァルトは初めて。
正直あまり期待していなかったのだが、
どうして、極めて魅力的な公演となった。

39番は立ち上がり、少々不安も感じたが
2、3楽章と次第に熱が入り、
終楽章は一気に駆け抜け、観客を興奮させた。

この手法は40番、41番でも同じ。
初めて良さがわかったような気がした。

休憩後の41番は圧巻。
自在にオケを操り、まるでジェットコースターにでも
乗っているかのようにスリリングな演奏。
特に、壮大かつ精緻な構造を持つ終楽章には聴き惚れた。
このまま曲が終わらないでほしいと心から願った。

久しぶりに聴いたミョンフン。
3月のチェコフィルの名古屋公演はすでに購入してあるが、
マーラー3番を演奏するN響の2月定期公演も気になってきた。

● チョン・ミョンフン指揮東京フィルハーモニー交響楽団
 '10.11.26 サラマンカホール 座席:BL-1

指揮 : チョン・ミョンフン
管弦楽 : 東京フィルハーモニー交響楽団

モーツァルト / 交響曲第39番 変ホ長調 K.543
モーツァルト / 交響曲第40番 ト短調 K.550
(休憩)
モーツァルト / 交響曲第41番 ハ長調「ジュピター」 K.551

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November 26, 2010

名古屋フィル 第374回定期演奏会

名古屋フィルの第374回定期演奏会を聴いてきた。

ベートーヴェンの序曲「コリオラン」は指揮台も譜面台も無し。
小編成のオケで洗練された音を聴かせてくれたが
いかんせん、この後の演奏が衝撃的であったため
印象に残らなかった。

休憩を入れずに続けて演奏された
ショスタコーヴィッチ交響曲第7番「レニングラード」は、
見たことないような大編成。
プログラムによると、エキストラが31名。
舞台が演奏者で埋め尽くされていた。
ちなみに金管のバンダは舞台上手の後ろ側。

テンポは遅めに設定され、
音の強弱の振り幅が異常に大きい。
爆発的なフォルティッシモに鳥肌が立った。
特に第1、4楽章の後半の盛り上がりが素晴らしかった。
名フィルからこんな音を引き出せる井上道義、
ぜひまた指揮台に立ってもらうことを熱望したい。
あわよくば常任指揮者に、これは無理かな。

●名古屋フィルハーモニー交響楽団第374回定期演奏会
「サンクトペテルブルク」
 '10.11.12 愛知県芸術劇場コンサートホール 座席:3階4列49

指揮:井上道義

ベートーヴェン/序曲「コリオラン」
ショスタコーヴィチ/交響曲第7番ハ長調「レニングラード」

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November 23, 2010

ヤンソンス指揮ロイヤルコンセルトヘボウ

マリス・ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の
マーラー「交響曲第3番」を聴いてきた。
一番好きなオケが一番好きな曲を演奏する、
聴きのがすわけにいかず、
川崎まで足を運んだ、日帰りで。

生のマーラー3番は5回目。
完成度から言うとアバド/ベルリンフィルが
上だったかもしれないが、
美しい弦はコンセルトヘボウならでは。

30分を超える1楽章だが、まったく長さを感じない。
弦もすばらしいが、金管、木管、ティンパニも実にうまい。
豊穣な音を聴かせてくれた。

4楽章になってアルトのラーソンが登場。
ベルリンフィルのときも歌っていた。
厚みがあり深みのあるにもかかわらず透きとおっている、
神がかったような歌声に聴きほれた。

5楽章、やっと登場する女声合唱と、児童合唱。
声が小さく感じたのはたぶん席のせいだったのだろう。
この5分間の楽章だけで2つの合唱団を使うなんて、
何とぜいたくな曲なのだろう。

長い終楽章はティンパニの連打で頂点に達し、
最後の和音が長く伸ばされて終わった。

終演後は聞いたことないほどの大拍手。
割れんばかりの拍手とは、こういう状況を言うのだろう。
ただ残念だったのは拍手が早過ぎた。
もっともっと余韻を楽しみたかった。

●マリス・ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
 '10.11.21 ミューザ川崎シンフォニーホール 座席:3LA 1-36

指揮:マリス・ヤンソンス 
アルト:アンナ・ラーソン 
合唱:新国立劇場合唱団/TOKYO FM少年合唱団

マーラー/交響曲第3番

◆参考メモ(今までに聴いたマーラー交響曲第3番)
1998年 アバド/ベルリン・フィル
2002年 シャイー/ロイヤルコンセルトヘボウ
2005年 チョン・ミョンフン/東京フィルハーモニー
2008年 現田茂夫/名古屋市民管弦楽団
2010年 ヤンソンス/ロイヤルコンセルトヘボウ

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