September 25, 2011

謙信の軍配者/富樫倫太郎

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富樫倫太郎の「謙信の軍配者」を読んだ。
「早雲」「信玄」に続く三部作の三冊目。

一作目は小太郎、二作目は勘助が主人公、
そして本作は冬之介が主人公のはずだったが、
軍配者としての活躍はほとんどない。
謙信がいかにスケールが大きく神がかっているかに
重きが置かれていた。
まあそれはそれで面白かったんだけど。

ラストは前作同様、ジーンとくる幕切れ。

★★★★

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September 03, 2011

悪の教典/貴志祐介

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貴志祐介の「悪の教典」を読んだ。
このミステリーがすごい2011年第1位、週刊文春ミステリーベスト1、
第1回山田風太郎賞受賞など、評判の高い作品。
上下巻合わせて850ページという超大作だが、
最後のページまで一気に読み切った。

女子生徒に絶大な人気の英語教師、ハスミンこと蓮実先生。
しかし彼は人格障がい者、
学校を舞台にとてつもない犯罪をおこす・・・

ネタばれになるのでこれ以上書けない。
下巻に入ってからは、
坂道を転がり落ちていくように
猛スピードで話が展開する。
読み応えは十分だが、
面白いとかエンターテイメントだとかの表現では憚られる内容。
好きなタイプの作品ではない。

この本って学校図書館に置いてあるんだろうか。
健全な少年少女には読んでほしくないな。

★★★★

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August 22, 2011

グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた/辻野晃一郎

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辻野晃一郎の「グーグルで必要なことは、
みんなソニーが教えてくれた」を読了​。

中学生のときにスカイセンサー5500を手に入れてから
ずっとあこがれの的だったソニー。
ウォークマン、VAIOなど、
物欲をそそられる商品を次々に世に送り出した。
しかしここ数年の凋落ぶりは
目を覆うものがある。

著者はソニーを辞めた後、
グーグル日本法人社長を務め、
この本の発行時には新たな会社を設立している。
ソニーでの23年間、グーグルでの3年間を振り返りながら
日米の企業の思想などの違いを綴った1冊。

暴露本とまではいかないが、
ソニーが今の状況に行き着くまでの状況が
よく理解できる。

しかし、それでも嫌いになれないソニー。
デジタル一眼カメラNEX-5を買ってしまった。

★★★★

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August 21, 2011

カウントダウン/佐々木譲

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佐々木譲の「カウントダウン」を読んだ。

北海道のかつては炭坑で栄えた都市が舞台。
現市長の長年にわたるワンマン行政により
市は赤字再建団体に陥る。
私欲にまみれた市長はさらに再選を目指す。
しかし、それに立ちはだかったのは30代の若手市議・・・

わたしは職業柄、面白く読めたが、
一般の人はどうなんだろう。
それにこの終わり方は余りに無責任。
このあと主人公はどんなまちづくりを進めるのかが、
一番の関心事なんだから。

この作家は直木賞を受賞してから
外れが多くなった。
やはり最高傑作は「警察の血(上下)」かな。

★★★

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August 18, 2011

木暮荘物語/三浦しをん

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三浦しをんの「木暮荘物語」を読んだ。

おんぼろアパート「小暮荘」の住人や
取り巻く人々の7つの物語。
ほんわかとした雰囲気の心温まるお話かと思いきや、
個性的な人たちが次々に登場する。

死ぬ前にもう一度sexをしたいと願う老人
3人の男と関係を結ぶ女子大生、
女子大生の部屋をのぞくことが生きがいの会社員、
今カレ、元カレの3人で共同生活を始める女、
ほんわかどころか、もう、どろどろの世界。

でも、登場人物がゆるやかにつながり、
一緒になって笑い、涙を流し、
とてもいい気分にさせてくれる1冊。

★★★★

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August 16, 2011

一週間/井上ひさし

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井上ひさしの「一週間」をやっと読むことができた。
著者の遺作であり、重量級の傑作。

ソ連による日本人捕虜のシベリア抑留という
重いテーマを真正面から取り上げている。
膨大な資料をもとに構成され、
ノンフィクションのようなリアリティを感じる。

ストーリーはどんでん返しの連続で、
まるで冒険活劇を見ているかのよう。
これだけ大きなテーマにもかかわらず、
笑いをうまく取り入れるところなど、本当に憎い。
多くの人に読んでもらいたい作品。

山下勇三のイラストレーションと、
和田誠の装丁も秀逸。

★★★★★

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June 08, 2011

民宿雪国/樋口毅宏

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樋口毅宏の「民宿雪国」を読んだ。

朝日新聞の書評で高い評価を受けていたので
読んでみようという気になったのだが、

これはとんでもない本。



どう表現すればいいのか、

ちょっと言葉が浮かんで来ない。
猟奇殺人にエログロが続々と登場するので、
途中で放り出そうと思った。

しかし荒削りながらも圧倒的なパワーを感じ

あっという間に最後のページまで読み終えた。



ひとつ断言できるのは、

ぜったいに映画化できない小説であること。

★★★★☆

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May 26, 2011

恋する空港—あぽやん2/新野剛志

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新野剛志の「恋する空港—あぽやん2」を読んだ。
「あやぽん」の続編となる連作短編集。

旅行会社の空港営業所を舞台にした、どたばたコメディ。
「あぽやん」とは“AIRPORT”を略した“APT”(アポ)に、
「やん」をつけてた愛称で、どちらかというと蔑んだ言い方。

前作で新人だった遠藤がスーパーバイザーに昇格。
新人の育成や営業所内のとりまとめに
苦労する様子を描いている。

妙なキャラクターの人物がたくさん登場し、
さまざまな事件が起きる。
はらはらしながら最後まで読み終えたが、
どの事件も設定に無理があり、
心から楽しめなかった。

どちらかというと前作がわたしの好み。

★★★☆

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March 04, 2011

ブルー・ゴールド/真保裕一

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真保裕一の「ブルー・ゴールド」を読んだ。

業界第二位の総合商社「葵物産」に勤める薮内之宏は
仕事の失敗の責関連会社任を押し付けられ、
無名の「ゴールド・コンサルタント」に
出向を命じられる。

ここの社長伊比大介も葵物産出身。
強烈なキャラクターの持ち主で、
これと決めたら恐喝してでも強引に押し進めるタイプ。
社員は少数だがこれまた個性的。
ITに強いが前科者の犬塚、
化粧が濃く何を考えているかよく分からない籾山、
何者かに襲われて今は入院中の高坂。

伊比が動いていたのは、
地下水を大量に必要とする工場を新設する話。
長野の酒造会社をうまく説き伏せたのだが、
直後に、工場周辺の水質汚染がテレビで報道され、
話は中断する。
だれかが水質のデータを流出させたのだが、
いったい誰が・・・

サスペンスやミステリーの要素もある
エンターテイメント企業小説。
総合商社や役所の裏側も分かり、
開発に関する知識も得られ勉強になった。

ただ、さまざまな要素を欲張って詰め込みすぎたため、
本筋がよくわからなくなってしまった。
長編だけに、途中で飽きたというのが本音。
登場人物も多く、薮内の前の上司、田伏局長や
ライバル社の米良佳美など、面白いのだが、
うまく生かし切れなかった。

★★★

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March 01, 2011

キケン/有川浩

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有川浩の「キケン」を読んだ。

成南電気工科大学の機械制御研究部は
通称「機研」すなわち「キケン」と呼ばれている。

二回生の上野は爆弾好きで、
小学生のころから作って遊んでいた。
同じく二回生の大神は堅実な性格で、
部の会計などを取り仕切っているが、
目つきが恐ろしい。
二人が部長、副部長を務める「キケン」に、
一回生の元山と池谷は引っ張り込まれた。
この怪しげな部「キケン」を舞台に、
5つのエピソードがおもしろおかしく語られる・・・

30年も前になる大学生活を思い出しながら
楽しく読ませてもらった。
わたしの母校も理系の大学で
男性の比率が高かったので、
「キケン」の部員たちの心情が
まるで自分のことのように理解できた。

元山が新婚の妻にアルバムを見せながら
学生時代の思い出話をするという設定となっており、
これが鮮やかなラストシーンにつながっていく。

予想はしていたけれど、やはり泣かされた。
うまいなぁ、この作家は。
映画化は間違いないと思う。

★★★★

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