ふがいない僕は空を見た/窪美澄
窪美澄の「ふがいない僕は空を見た」を読んだ。
高校一年生の斎藤卓巳は、
コミケで出会った主婦あんずと関係を続けている。
ある日、好きだった同級生の松永から告白されるのだが、
あんずとの関係をやめられない卓巳。
あんずはというと、特に好きでもない男性と勢いで結婚、
子供が出来ないことを義母から責められ、
強引に不妊治療を受けさせられる。
卓巳に告白をした松永、
夏の間には卓巳とセックスをしているはずだったのに、
うまくいかない。
そして卓巳と人妻の噂を耳にしてしまう。
それでも彼のことは嫌いになれない。
卓巳の友人福田は、貧乏でぎりぎりの生活を送る。
ふとしたことから、バイト先の先輩に勉強を教わることになる。
先輩は超有名大学を卒業しているのに
コンビニでアルバイトをしており、
何故か福田たちに親切にしてくれる・・・
卓也を取り巻く人たちを視点を変えながら描き、
一本の流れを生み出す連作短編集。
卓巳とあんずを描いた第1編「ミクマリ」だけを読んでいたら、
単なるエロ小説で終わってたかもしれない。
あんずが語る2編目から、
卓巳を取り巻く人々の濃厚で生々しい人間関係が
浮かび上がってくる。
あんずの章「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」と
卓巳の母の章「花粉・受粉」が絶品。
すごい、と思える新人に久しぶりに出会えた。
まずは読んでもらいたい。
★★★★★
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Comments
どーでも、この人生を生きている中で精神を維持する必要があります
Posted by: wisata | October 05, 2016 11:46 PM