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February 18, 2011

ふがいない僕は空を見た/窪美澄

325921


窪美澄の「ふがいない僕は空を見た」を読んだ。

高校一年生の斎藤卓巳は、
コミケで出会った主婦あんずと関係を続けている。
ある日、好きだった同級生の松永から告白されるのだが、
あんずとの関係をやめられない卓巳。

あんずはというと、特に好きでもない男性と勢いで結婚、
子供が出来ないことを義母から責められ、
強引に不妊治療を受けさせられる。

卓巳に告白をした松永、
夏の間には卓巳とセックスをしているはずだったのに、
うまくいかない。
そして卓巳と人妻の噂を耳にしてしまう。
それでも彼のことは嫌いになれない。

卓巳の友人福田は、貧乏でぎりぎりの生活を送る。
ふとしたことから、バイト先の先輩に勉強を教わることになる。
先輩は超有名大学を卒業しているのに
コンビニでアルバイトをしており、
何故か福田たちに親切にしてくれる・・・

卓也を取り巻く人たちを視点を変えながら描き、
一本の流れを生み出す連作短編集。

卓巳とあんずを描いた第1編「ミクマリ」だけを読んでいたら、
単なるエロ小説で終わってたかもしれない。
あんずが語る2編目から、
卓巳を取り巻く人々の濃厚で生々しい人間関係が
浮かび上がってくる。
あんずの章「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」と
卓巳の母の章「花粉・受粉」が絶品。

すごい、と思える新人に久しぶりに出会えた。
まずは読んでもらいたい。

★★★★★

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Comments

どーでも、この人生を生きている中で精神を維持する必要があります

Posted by: wisata | October 05, 2016 11:46 PM

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