« December 2010 | Main | February 2011 »

January 28, 2011

信玄の軍配者/富樫倫太郎

516nogrp1vl_sl350_

富樫倫太郎の「信玄の軍配者」を読んだ。
軍配者シリーズの第二弾。

今回は四郎左(後の山本勘助)の物語。
幼いころ、親兄弟と死別し天涯孤独な身。
足利学校と京都の建仁寺で軍配者としての知識を身に付け、
戦 場で学友たちと再会する日を夢みている。
しかし現実は、今川家の領内・駿府で軟禁状態に置かれ
無為に四十代を迎えてしまった。

ある日、甲斐を追われた武田信虎から
憎き嫡男・晴信(後の信玄)の暗殺計画を持ちかけられる。
これには乗らず、命からがら小田原の小太郎の元を訪ねた。
さらに足利学校を再訪し、決意を新たに甲斐へと向かった・・・

山本勘助が武田晴信の軍配者となり、
数々の戦果を残していくまでの経緯を描いている。
武田家の晴信や家臣たち、雪姫など
取り巻きが生き生きとして、そのエピソードが興味深い。
何度も登場する合戦の場面も迫力があり、
3人の軍配者の友情をうまくからめて
見事なエンターテイメントとなっている。

次巻の「謙信の軍配者」は、
足利学校のもう1人の仲間・曾我冬之助の物語。
どのような結末が待っているのか、今から楽しみ。
夏に刊行予定。

★★★★★

| | Comments (0)

January 26, 2011

早雲の軍配者/富樫倫太郎

004099

富樫倫太郎の「早雲の軍配者」を読んだ。

伊豆と相模を一代で治めた伊勢宗瑞(北条早雲)、
のちに隠居し「韮山さま」と呼ばれ領民から慕われていた。
韮山の寺で和尚から才能を見出された少年・小太郎は、
早雲の孫・千代丸(後の氏康)の軍配者となるべく
足利学校へ派遣されることとなった。

そこで出会ったのは、
のちに武田信玄の軍師として活躍する山本勘助と、
扇谷上杉家の軍配者を祖父に持つ曾我冬之助。
小太郎も足利学校を出た後、北条軍の一員となり、
やがて学友の2人と戦場で合間見えることとなる・・・

軍配者というのは、単なる軍師や参謀の役割だけでなく
気象予測、易学や陰陽道など、
戦全般に関して君主に助言する専門家、
才能のある軍配者は、
どこの陣営からも引っ張りだこだったらしい。

3人が足利学校に入学し、学び、
そして卒業した後の活躍ぶりと
3人の友情が描かれており
いわば青春小説のような趣がある。

難があるとすれば、内容が浅いことと、
小太郎があまりにいい子すぎるということか。

★★★★☆

| | Comments (0)

January 23, 2011

東京フィル第59回オペラシティ定期

久しぶりに大野和士が聴けるというので期待していたら、
2日前に指揮者が変更のお知らせが新聞に載った。
頚椎の状態が悪くなって
ドクターストップが掛かったとのこと。
失望感を抱きながら会場へ足を運んだ。

望月京に委嘱した作品「むすび」は
よくわからないのでパス。

2曲目のショスタコーヴィチ6番は
実演で聴く機会の少ない作品。
緩徐楽章から始まる3楽章構成というのは珍しい。
1楽章は印象が薄かったが、
2・3楽章ではショスタコーヴィチらしいメロディ、リズムが登場する。
表情豊かな東フィルの演奏が印象的だった。

休憩をはさんでプロコフィエフ5番。
大好きな曲のひとつ。
どの楽章も仕掛けがあって、
視覚的にも楽しめる曲。
この日は少々単調に感じたが充実した演奏だった。

総じて、オケの質の高さに感心した。
普段、名古屋フィルを中心に聴いているだけに、
キレの良さや見事なアンサンブルには
目を見張るものがあった。

突然の指揮者交代ということで、
オケのメンバーも普段以上に気合いが入っていたのだと思う。
この日は東京出張の最終日で、
私としては相当疲れていたのだが
無理して足を運んだ甲斐があった。

●第59回東京オペラシティ定期シリーズ
 '11.1.13 東京オペラシティコンサートホール 座席:2階L2-42

演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:渡邊一正

望月 京/むすび
※新作・世界初演
※東京フィルハーモニー交響楽団100周年記念委嘱作品
(休憩)
ショスタコーヴィチ/交響曲第6番ロ短調
プロコフィエフ/交響曲第5番変ロ長調

| | Comments (0)

January 15, 2011

KAGEROU/齋藤智裕

M0408257001


齋藤智裕の「KAGEROU」を読んだ。

著者がタレントの水嶋ヒロであること、
処女作が100万部を超える大ベストセラーとなったこと、
発売早々にAmazonのレビューが炎上したことなど、
話題にはこと欠かない作品。

40歳のヤスオ(大東泰雄)は営業マンをしていたが、
リストラされ多額の借金を背負い、
ところが、ビルのフェンスから投身自殺を図ろうとする。
寸前のところでキョウヤ(京谷貴志)に止められ、
一命を取り留めた。

キョウヤは裏社会の臓器提供グループの一員。
彼からの勧めで、
ヤスオは臓器を提供する契約を結ぶのだが・・・

水嶋ヒロってかっこいいし、学歴もあるし、
小説も書けるんだ、大したもんだなと、
妙に納得してしまった。
作品についてはタレントの処女作品にしては
よく出来ていると思う。
しかし、1200人以上が応募した文学賞(副賞2000万円!)の
大賞作品としては物足りないと言わざるを得ない。

筒井康隆の風刺の効いたショートショートのような短編にしておけば
もっと完成度が高くなったのではないか。

★★★☆

| | Comments (1)

January 04, 2011

2010のベスト3【美術】

印象に残るのは瀬戸内国際芸術祭。
3日間掛けて5つの島を巡った。

そしてあいちトリエンナーレ。
行けなかった会場がいくつかあったのが残念だった。
せっかくパスポートを購入したのに。

そんな中で選んだベスト3は次のとおり。

1.スペクトラ・ナゴヤ(池田亮司)

「あいちトリエンナーレ」の一環として名古屋城で行われた。
池田亮司による光と音のインスタレーション。
この世の出来事とは思えない言葉にならない体験だった。

Img_7127

Img_7118


2.直島銭湯「I♥湯」(大竹伸朗 / graf)

こんな楽しい銭湯があっていいのか。
アートを楽しんでお風呂に入って、極楽、極楽。

Img_6795


3.「一週間」(山本高之)

「あいちトリエンナーレ」における山本高之のインスタレーション。
動物園の動物の前で子どもたちが、
それぞれの動物を主人公にした「一週間の歌」の替え歌を
歌わせるとともに踊らせるというもの。
子どもたちのテンションの低さが
笑いにつながるという不思議な体験。

あ、山本高之って、ものまねの人じゃありません。
それは山本高広。

News101125_5ph02


| | Comments (0)

January 02, 2011

あけましておめでとうございます

今年もよろしくお願いします。

このブログをどうしようか
いろいろ迷うところですが、
とりあえず、当分は続けていきます。
備忘録として。

| | Comments (0)

« December 2010 | Main | February 2011 »