身の上話/佐藤正午
佐藤正午の「身の上話」を読んだ。
23歳の古川ミチルは田舎町で書店に勤務するOL。
2歳年上の上林久太郎と付き合っている。
しかし店に出入りする東京の大手出版社社員、
豊増一樹とも交際が始まった。
ある日、ミチルは書店の昼休みに、
歯医者へ行こうとしていた。
実は出張から帰る豊増を
密かに空港まで見送ろうと考えていたのだ。
そんなこととは知らず同僚たちは、
宝くじを買って来るよう彼女に頼んだ。
宝くじを買い、空港で豊増を見送ろうとしたミチルだが、
急に気が変わり、彼とともに飛行機へ乗ってしまう。
ミチルの波乱の人生が始まる・・・
まったく予想もしない方向に物語は進んでいく。
ご都合主義で、リアリティには欠けている。
なのに先が読みたくて、気になって、
時間を忘れページをめくってしまった。
ミチルの身の上話の語り手はだれなのか、
だれに対して語っているのかが最初は明かされないが、
後半になって見えてくる。
構成が巧みで、話はおもしろい、ぞくぞくする・・・
しかし、登場人物は嫌なやつばかり、
好きな部類の小説ではなかった。
★★★☆
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