新国立劇場「アラベッラ」
10月に新国立劇場でR.シュトラウス「アラベッラ」を見てきた。
遅くなったが、備忘録代わりに簡単なレビューを。
「アラベッラ」を観るのは初めて。
ほとんど予備知識がなく、予習もしていかなかった。
しかしストーリーに破綻がないので、とても見やすかった。
第一幕は、アラベッラ一家が滞在しているホテルの一室。
青を基調とした舞台美術はすべての幕に共通する。
しっとりというよりも、ドライなイメージ。
部屋にクリムトの絵画がずらりと並べられている。
第二幕は、豪華な宮廷の舞踏会の場面。
中央に大きな階段があり、
正装の紳士、淑女が舞台に現れると
ため息が出るほどにハイソ名雰囲気がただよう。
アラベッラのブルーのドレスも華やか。
ちなみに衣装担当は森英恵。
第三幕。
舞台はまたホテルに戻る。
ただし位置が変わる。
場所はホテルのフロント周辺。
ここでも大きならせん状階段が、でんと構える。
物語は、誤解をしていたアラベッラとマンドリカが
手を取り合って階段を登ったところで幕。
しっとりとしたラストに思わず涙。
なかなか感動的な閉じ方であった。
満足度の高いステージだったが、演出には少々不満もある。
アリアの最中でも歌手の後ろで、
ほかの出演者が寸劇のように動き回っている。
演出上、必要であれば仕方がない。
しかし、そうとは思えないような動きも多かった。
お芝居としては観ていて楽しいけれど、歌をじっくり聴くには邪魔。
歌手は総じてがんばっていた。
特に、マンドリカのヨハネス・マイヤー。
前回の新国「ヴォツェック」のタイトルロールより、
こちらのほうが美声に聴こえた。
役づくりも楽なんだろうな。
アラベッラのミヒャエラ・カウネ、
声はあまり好みでないが見た目がいいので及第点。
このオペラ、アラベッラとズデンカの容姿に問題あると
感情移入できそうにない。
そのズデンカのアグネーテ・ムンク・ラスムッセン、
男装したり、下着姿で泣きわめいたりと
難役を無難にこなしていた。
日本人は皆、歌も演技もうまかった。
大変レヴェルの高い公演であった。
初めて観たアラベッラだったが、
お気に入りのオペラ作品のひとつとなった。
●R.シュトラウス/アラベッラ
`10.10.11 新国立劇場オペラパレス 座席:4階2列8
アラベラ:ミヒャエラ・カウネ
マンドリーカ:トーマス・ヨハネス・マイヤー
ズデンカ:アグネーテ・ムンク・ラスムスッセン
マッテオ:オリヴァー・リンゲルハーン
ヴァルトナー伯爵:妻屋秀和
アデライーデ:竹本節子
エレメール:望月哲也
ドミニク:萩原 潤
ラモラル:初鹿野剛
フィアッカミッリ:天羽明恵
カルタ占い:与田朝子
指揮:ウルフ・シルマー
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団
合唱指揮:三浦洋史
演出:フィリップ・アルロー
衣装:森 英恵
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Comments
このオペラだったのですね。
お気に入りになって良かったですね♪
私はオペラはまだ未体験です。
言葉とか解らないし
どうも二の足を踏んでしまいます・・・。
Posted by: 久美 | November 12, 2010 11:54 PM
久美さん
言葉は問題ありません。
必ず日本語字幕が付きますから。
まずはポピュラーな演目から
足を運んでみてください。
新国立劇場なら、
あまり外れはありません。
Posted by: るうかす | November 13, 2010 09:52 PM