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November 13, 2010

リアル・シンデレラ/姫野カオルコ

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姫野カオルコの「リアル・シンデレラ」を読んだ。
第143回直木賞候補作。
全く期待してなかったが、
読みごたえのある傑作だった。
この作家はこういう作品を書くんだ、
直木賞候補は3回目、納得。

長野県諏訪で生まれた倉島泉(せん)は、
料理屋兼旅館「たからや」の妹夫婦の長女として生まれた。
実母からの冷たい仕打ちを受けながら育ち、
美しく病弱な妹、深芳に嫉妬することなく、
両親の不平等に憤りもせず淡々と人生を送っていた。
そんな彼女には不幸せなことが次々と起こる。
しかし、彼女自身はいつも幸せを感じていた・・・

実際に泉は登場しない。
小さな編集プロダクションに勤める「わたし」が、
彼女の周りにいた人たちへの取材から
倉島泉という女性の本を編集することで、
泉の人生を浮かび上がらせている。

泉の妹、深芳を地元の人は
口をそろえて美しいと褒めたたえる。
しかしそれとは正反対に、
「わたし」の周りの人たちは泉を美しいと表現する。
泥まみれになって畑仕事をし、服装も全く構わないのに、
ある種の人々には、泉はとても魅力的に映るのだ。

読み終えて、泉の幸せに思いを馳せた。
久しぶりに、再読したいと思う作品に巡り合った。

ただ、ひとつだけ苦言。
この表紙の絵はやめてほしかった。

★★★★★

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Comments

Write more, thats all I have to say. Literally, it seems as though you relied on the video to make your point. You clearly know what youre talking about, why waste your intelligence on just posting videos to your blog when you could be giving us something enlightening to read?

Posted by: best dating sites | January 18, 2015 08:55 AM

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