あの日にかえりたい/乾ルカ
乾ルカの「あの日にかえりたい」を読んだ。
第143回直木賞候補作。
6篇の短編集で、いずれも北海道が舞台。
広い意味でのタイムトラベル的な要素が加味されているとは、
作家本人の弁。
時空を超えた不思議な出来事が起き、
最後は感動的なシーンで終わる。
どの作品もこのパターンで、
よくできているなあと関心しながらも
先が読めてしまうつまらなさも無くはない。
最後の「夜、あるく」は、静かに心に響く秀作。
30歳に近い独身女性と
一生独身を通した70代の女性の二人の
ふとした交流の中から
人が生きる意味をおぼろげながらも浮き上がらせている。
この作家の作品は初めてだったが、
ほかの作品も読んでみたいと思わせる、
魅力的な作品だった。
★★★★
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