主よ、永遠の休息を/誉田哲也
誉田哲也の「主よ、永遠の休息を」を読んだ。
鶴田吉郎は通信社に勤める記者で、
ふだんは池袋警察署の記者クラブに詰めている。
かつては特ダネを抜いたこともあるが、
やる気のある記者では決してない。
ある日、偶然、コンビニ強盗の現場に居合わせてしまった。
そのとき犯人逮捕に強力をしたコバヤシと名乗る男性から
暴力団事務所に襲撃の情報を得る。
やがて鶴田は、14年前に起きた女児誘拐殺人事件の
現場と思われる実録映像が
この事務所からネット配信されていることを知る。
一方、強盗に入られたコンビニでアルバイトをしている桐江。
テレビは気分が悪くなって見られないし、
本やCDがたくさん並んでいる書店、レンタル店などは苦手。
恋人とホテルに入っても、
その直前になると気分が悪くなって気を失ってしまう。
そんな桐江が、コンビニ強盗事件で、
記者の鶴田と知り合う・・・
物語は鶴田と桐江の二人の視点で展開する。
ミステリータッチではあるが
それほど凝っているわけではない。
むしろ先が読めてしまうほど、
シンプルな作りとなっている。
女児誘拐殺人事件を題材としているので、
読んでいて息苦しくなってくるが、
先をむさぼるように読みたくなるのは不思議。
たぶん、登場人物のキャラクターが明解に差別化されているため、
戸惑うことがないからだろう。
この作家の作品は初めて読んだが
お気に入りの作家がまたひとり増えた。
★★★★☆
The comments to this entry are closed.
Comments