佐渡裕プロデュースオペラ2010「キャンディード」
佐渡裕が毎年夏にプロデュースしているオペラ、
今年は満を持してのバーンスタイン作曲「キャンディード」。
演出はロバート・カーセン、
これは見ないわけにいかない。
佐渡のキャンディードは
10年ほど前に一度、びわ湖ホールで見たことがある。
たしか演奏会形式だった。
あまり印象に残っていないが・・・
ストーリーは、主人公のキャンディードが
さまざまな災難に遭遇しながらも、
最後は、目の前にある出来ることからまずやっていこうと
悟ることでハッピーエンドとなる。
実際にはハチャメチャな物語で、
戦争が起きたり、恋人がレイプされたり、
さらには死んだはずの人物が生き返ったり、
もう何でもありの内容。
カーセンがどのように演出するのかが
一番の見どころだった。
会場に入って、まず目に飛び込んできたのは
舞台いっぱいに造られた巨大なテレビのセット。
序曲が始まると、テレビ画面が
映画館のスクリーンのようになって、
タイトルとキャスティングがクレジットされていく。
いきなりの楽しい演出に心がときめいた。
ずいぶん台本の変更・読み替えがされていたようで、
後半、アメリカやフランス、英国などの元首相、大統領が登場するくだりは
よくぞここまでやってくれたと痛快な気分に。
ラストは、合唱による「畑を耕そう」、
スクリーンには環境破壊の様子が次々と映し出され、
単なるハッピーエンドとはせずに、
人類へのメッセージで感動的に終わった。
演出に関しては、さすがカーセン、
これからも見逃せない。
ではプロダクション全体の完成度、感銘度はというと、
ちょっと待てよ、ということになる。
一番引っかかったのは、PAを使っていたこと。
最初からずっと歌声に不自然さがあった。
ミュージカルだからと割り切ればいいのだが、
私はやはり生の声が聴きたい。
さらにはハチャメチャなストーリーに
今ひとつ感情移入できなかった。
セリフが多く、字幕を見ている時間が長くなって、
舞台への集中力が途切れてしまった。
分かりやすい英語だったとはいえ、
字幕無しでは、細かいニュアンスが理解できなかった、
まあそれは私自身の問題なのだが・・・
●佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2010「キャンディード」
’10.7.27 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール 座席:1階L-18
指揮:佐渡裕
演出:ロバート・カーセン
ヴォルテール/パングロス博士:アレックス・ジェニングズ
キャンディード:ジェレミー・フィンチ
クネゴンデ:マーニー・ブレッケンリッジ
オールド・レディ:ビヴァリー・クライン
大審問官 ほか:ボナヴェントゥラ・ボットーネ
パケット:ジェニ・バーン
マクシミリアン:デヴィッド・アダム・ムーア
カカンボ:ファーリン・ブラス
合唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団
ダンサー:オリジナル・プロダクション・メンバー選抜
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
The comments to this entry are closed.
Comments