ダブル・ジョーカー/柳広司
柳広司の「ダブル・ジョーカー」を読んだ。
日本推理作家協会賞と吉川英治文学新人賞を受賞した
「ジョーカー・ゲーム」の続編。
5編からなる連作短編集。
昭和の初期、陸軍内に設置されたスパイ養成学校「D機関」、
創始者の結城中佐が教え子に叩き込んだ精神は
「死ぬな、殺すな、とらわれるな」
すなわち軍人の玉砕精神とは相反する合理主義であった。
D機関の活動に反発する風戸中佐は、
別に「風機関」をつくり対抗する。
ある日、元外交官に軍の最高機密文書を盗んだ疑いが掛かる。
風戸はD機関より先に、そのスパイ現場を押さえようとする・・・
どの短編もミステリーとして一級品で、
かつ、知識欲をそそられる内容となっている。
中でも、結城中佐の過去が明らかになる「柩」が秀逸。
「ジョーカー・ゲーム」と「ダブル・ジョーカー」は
実在する陸軍中野学校がモデルといわれている。
戦時中は、実際にこんな活動が繰り広げられていたのだろうか、
フィクションとわかってはいても
そんなふうに想像を膨らませると
何だかわくわくする。
できれば、いや、絶対に
前作「ジョーカー・ゲーム」とセットで読むべき。
★★★★★
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