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April 24, 2010

鉄の骨/池井戸潤

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池井戸潤の「鉄の骨」を読んだ。
第31回吉川英治文学新人賞受賞。
第142回直木賞候補作。

主人公の平太は中堅ゼネコン一松組に入社して3年。
突然、建設現場から業務課へ移動となった。
全く畑違いのこの課は「談合課」とも呼ばれ、
尾形常務が実権を握っていた。

近々行われる都営地下鉄工事の入札、
一松組としては何としてでも落札したい。
平太は課長の兼松、課員の西田らとともに
入札の準備をするとともに談合の調整をする。

入札を仕切るのは大物フィクサーの三橋、
平太は尾形常務を通じて知り合い、
偶然、母親と同郷であったことから、三橋に気に入られる。
以降、一松組の三橋との交渉役は、平太が担当することになる。

入札が近づいても他社との調整がうまくいかない。
各社が焦るなか、道路族の大物国会議員城山を狙い
検察が動き始めた・・・

建設業界の談合を扱った作品。
堅いテーマにもかかわらず、
専門知識がなくても、
まるで「談合読本」のように一気に読めてしまう。
作家の筆力はなかなか大したもの。

談合の話の裏で、
平太と恋人の萌、エリート銀行員園田の
三角関係が描かれている。
じれったいくらいに鈍直な平太、
どっちつかず、優柔不断な萌、
何をやらせても一番、一流というのが鼻につく園田、
行ったり来たりを繰り返す3人の行動に
手に汗握りながらも、
心から平太を応援している自分がいた。

さまざまな顔を持つ、
フィクサー三橋の描きかたもうまい。
人間として非常に魅力的、
もしかしたら主人公は三橋なのかもしれない。

NHKがドラマ化、7月から放送される、
平太役は小池徹平という。
三橋役は明らかにされていないが、
出演者の名簿から想像すると中村敦夫だろうか。

★★★★★

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