八朔の雪/髙田郁
高田郁の「八朔の雪」を読んだ。
江戸の神田にある蕎麦屋・つる屋で
料理の腕を振るう澪。
もともとは大阪の生まれで、
水害で両親を亡くしたときに
料理屋・天満一兆庵の女将・お芳に拾われた。
天性の味覚の鋭さを見込まれ、
料理の修業をしようとしたが店は火災で焼失してしまう。
次々と不運に見舞われ、お芳と一緒に上京、
小さな蕎麦屋「つる家」で奉公し始める。
お芳や「つる家」の主人・種市、医者の源斉、
謎めいた浪人の小松原などの助けを借りて
料理の腕を上げていく・・・
料理と人情を扱ったユニークな時代小説。
短編が4作品収められており、
それぞれに、鰹田麩、心太、茶碗蒸し、酒粕汁と
料理が登場する。
これがまたおいしそうに表現されるんだよなぁ。
この作家、人物の描写が分かりやすい。
ストーリーも王道を行くもので、
泣いたり笑ったりと、だれでも楽しめる。
若旦那の行方や天満一兆庵の再興など
明らかにされていない点も多く、興味は尽きない。
続編「花散らしの雨」も購入済み。
★★★★★
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