廃墟に乞う/佐々木譲
佐々木譲の「廃墟に乞う」を読んだ。
第142回直木賞受賞作品。
仙道は北海道警の捜査一課に所属する警察官。
かつて担当した事件で2人の死者を出したことが原因で
精神的に病んでしまう。
現在は休職して療養中だが、
刑事としての腕の確かさを買われ、
今までにかかわってきた人たちから
さまざまな事件の相談が寄せられる。
仙道は刑事の役職のままプライベートで動き、
解決をしていく。
北海道の各地で起こったそんな事件の顛末が
6編の連作で綴られている。
単なる警察小説に終わらず、
さびれていく炭鉱の町、
大量の外国人が移り住んできたリゾートの村など、
現在の北海道の社会的問題を
リアルに描き出しているのはさすが。
しかし、重厚さとドラマ性では
三代の警察官を描き直木賞候補になった
長編の「警官の血」には及ばない。
★★★★
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