スワンソング/大崎善生
大崎善生の「スワンソング」を読んだ。
時は1980年代、携帯もメールもなかった時代。
出版社で雑誌の編集をする篠原良。
社内恋愛の由香とは3年付き合っていたが、
アルバイトの由布子を好きになり交際を始める。
別れを受け入れられな由香は自暴自虐となる。
一方、由布子も真面目で潔癖な性格が災いしてか
鬱状態で良の支えがないと生活できない・・・
前半の展開は救いようもなく
読むのをやめようと思った。
良がフランクフルトに異動してからは
次第に光が射してくる。
著者の透明感のある表現は、
上質の恋愛映画を見ているようだ。
ところが、ラストの子どもにつけた名前のエピソードが
余韻をぶち壊した。
どうしてこんな陳腐なエピソードをラストに持って来るのか・・・
理解できない。
クラプトンの“Tears in Heaven”や
ギルバート・オサリバンの“Alone Again”が効果的に登場する。
このあたりのうまさには脱帽。
評価もつい甘くなってしまう。
★★★☆
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