神様のカルテ/夏川草介
夏川草介の「神様のカルテ」を読んだ。
第10回小学館文庫小説賞受賞。
栗原一止は松本市の民間総合病院に勤務する青年医師。
愛読書は夏目漱石の「草枕」、
そのためか話し方が古風で、
人からは変わり者扱いされている。
彼の周辺には個性的な人物が揃っている。
職場では、古狐、大狸と呼ばれている先輩医師や、
美人で手厳しい看護師ら。
プライベートでは山岳写真家の細君ハルや、
大学院生の学士殿、絵描きの男爵など、
二人が新婚生活を送る古びたアパート「御嶽荘」の住人たち。
栗原は安曇さんという患者を担当することになる。
ていねいな物腰とやさしい性格で、
医師や看護師から愛されているこのおばあちゃん、
実はガンで、余命幾ばくもない。
栗原は安曇さんのために医師としてなにが出来るのかと考える・・・
心の琴線に触れるエピソードがいくつも登場して、
そのたびに涙腺がゆるみっぱなし。
処女作ということで、プロットや人物描写に甘い点は多々ある。
しかし、コメディタッチで、
時にベタなお涙頂戴のエピソードを挿入しながら、
地域医療、延命医療などの問題を
きちんと分かりやすく盛り込んでいる点は、
とても共感した。
装丁のイラストといい、
若い世代に向けて書かれたものだとは思うが
どの世代にもすすめられる1冊。
★★★★★
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Comments
るうかすさんの感想読んでたら、すごく読みたくなって、
早速、図書館へ予約入れました。
>涙腺がゆるみっぱなし
とは。。。楽しみだわ~♪
Posted by: 百子 | February 01, 2010 04:11 PM
百子さん
小説としての深みは今ひとつかもしれませんが
それでも読む価値のある作品だと思います。
Posted by: るうかす | February 04, 2010 12:32 AM