横道世之介/吉田修一
吉田修一の「横道世之介」を読んだ。
1980年代の東京を舞台に、
地方から都内の大学に進学した横道世之介と
彼を取り巻く友人、恋人たちが描かれる。
マンションの隣に住むヨガのインストラクター小暮京子、
入学式で知り合った同学部の倉持一 平、
いつの間にか入部させられてしまったサンバサークルの阿久津唯、
一緒に寝泊まりした加藤、
年上であこがれの片瀬千春、
そして自動車教習所で出会った与謝野祥子。
皆、個性的なようで、
自分の学生時代を思い返すと、
似たような奴らはいたような気がする。
20年後、彼らが何をしているかが
途中、絶妙のタイミングで語られる。
世之介のことは祥子以外、だれも知らない。
どうなったかはネタばれとなるので伏せておくが、
このあたりの設定が憎い。
読み終えて、なぜか学生時代よく立ち寄ったお店が
次々と頭に浮かんだ。
新宿のRolling Stone、渋谷TOPDOG、自由が丘SONGS・・
一緒に行っていた友人、女の子たちは今、
ワタシのことを覚えていてくれるのだろうかと、
しばし、もの思いに耽った。
人と人が出会うのは偶然のようで
実は必然ではないかと、
この小説を読んで、今さらながら感じた。
今年読んだ中でも特に印象深い1冊。
★★★★★
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