追想五断章/米澤穂積
米澤穂積の「追想五断章」を読んだ。
「このミステリがすごい!!」の日本小説で4位、
その他のランキングでも上位に挙がっている。
芳光は大学を中退し、叔父の古本屋でバイトをしている。
ある日、北里可南子という女性が店に現れ
「父の書いた小説を探して欲しい」と依頼される。
父こと、北里参吾の遺した小説は全部で5編、
どのように発表されたのかは不明だが、
共通しているのは、どれも結末をわざと書かずに
読者に委ねる「リドルストーリー」になっていること。
そして可南子がその5編の結末を持っているという。
小説が載っていた雑誌などを頼りに調べていくと、
作品は一つ一つ見つかっていった。
しかし調査を進めるうちに、参吾が当事者となった事件
「アントワープの銃声」の姿が浮かび上がってきた・・・
小説の中に登場する5つの短編が
それだけでも1冊の本にまとまるのではないかと思うくらい
よく出来ている。
ところが、謎解きも含め
全体として面白かったかと聞かれると、
そうでもないと答えざるを得ない。
技巧に走り過ぎて、人間を描ききれていない。
魅力ある登場人物がいない、そんな気がする。
ここ数年、評価の高いミステリーを
ひと通り読んで来た。
しかし、どうもワタシはミステリーとは
相性が悪いらしいということに
今さらながら気づいた。
★★★
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