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December 10, 2009

青嵐の譜/天野純希

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天野純希の「青嵐の譜」を読んだ。

文永の役と弘安の役、二度にわたり
元軍が日本を襲来した、いわゆる元寇。
この時代に生きた、二郎、宗三郎、麗花の3人の若者を描く。

二郎は商人の息子、宗三郎は遊女の私生児、
麗花は高麗から流れ着いた少女、
3人は玄界灘の壱岐島で出会い、強い絆で結ばれる。

絵が好きな二郎は、絵師になる夢を抱いて大陸に渡るが、
嵐に遭遇し船は難破、行方知らずとなった。

隠岐に残った宗三郎は、元軍の襲撃を受け、
命からがら生き延びる。
復讐心に燃える宗三郎は、
松浦党に身を投じ、元軍の再襲来に備える。

麗花は博多の豪商・謝国明に育てられた。
母親譲りの笛の才が認められ、
桔梗率いる田楽踊りの一座に加わることになった・・・

大陸と日本を股にかけた
スケールの大きな作品である。
幼なじみの3人が、元寇の襲来により
運命に翻弄されながらも懸命に生きていく姿が
生き生きと描かれている。

文永の役、弘安の役での
悲惨極まりない戦闘や虐殺の場面が続くのに、
読後感が悪くないのは、
庶民の生きる力や希望をしっかりと描いているからだろう。
著者の天野純希(あまの すみき)は名古屋市出身の30歳。
これからが楽しみだ。

ただ残念なのは、中身の分かりづらいタイトルと
趣味の悪い装丁。
これは出版社が問題か。

★★★★★

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