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October 22, 2009

ヘヴン/川上未映子

2157721

川上未映子の「ヘヴン」を読んだ。

芥川賞候補作の「わたくし率 イン歯ー、または世界」と
同受賞作「乳と卵」、どちらも立ち読みをしたが、
相性が良くなくて未読のまま。
今回のヘヴンは偶然、図書館で借りることが出来た。

主人公は14歳の「僕」。
斜視で、学校では毎日のようにいじめに遭っている。
ある日、同級生の「コジマ」から手紙をもらった。
彼女も汚い身なりをしているせいでいじめられている。
二人は密かに文通をしながら心を通わせていく・・・

いじめを扱った作品は苦手で、
いつも感情移入ができない。
これほどのいじめを受けているのに
教師、母親、医師、だれも気づかないというのも
どうしても理解できないんだけど。

それでもラスト近く、いじめの加害者である生徒たちと
「僕」「コジマ」の戦いは、情景描写が見事、
つい引き込まれてしまった。
ただ、ラストが、あまりにもご都合主義で
少々興ざめ。

歌手で詩人で芥川賞作家で、しかも美人、
そんな話題が先行しているような気がする。
今後の作品に期待したい。

そうそう、帯のうたい文句はいただけない。

「驚愕と衝撃!圧倒的な感動! 
涙がとめどなく流れるー
善悪の根源を問う、著者初の長篇小説」

この本の本質とは、ずれていると思う。

★★★☆

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