ヘヴン/川上未映子
川上未映子の「ヘヴン」を読んだ。
芥川賞候補作の「わたくし率 イン歯ー、または世界」と
同受賞作「乳と卵」、どちらも立ち読みをしたが、
相性が良くなくて未読のまま。
今回のヘヴンは偶然、図書館で借りることが出来た。
主人公は14歳の「僕」。
斜視で、学校では毎日のようにいじめに遭っている。
ある日、同級生の「コジマ」から手紙をもらった。
彼女も汚い身なりをしているせいでいじめられている。
二人は密かに文通をしながら心を通わせていく・・・
いじめを扱った作品は苦手で、
いつも感情移入ができない。
これほどのいじめを受けているのに
教師、母親、医師、だれも気づかないというのも
どうしても理解できないんだけど。
それでもラスト近く、いじめの加害者である生徒たちと
「僕」「コジマ」の戦いは、情景描写が見事、
つい引き込まれてしまった。
ただ、ラストが、あまりにもご都合主義で
少々興ざめ。
歌手で詩人で芥川賞作家で、しかも美人、
そんな話題が先行しているような気がする。
今後の作品に期待したい。
そうそう、帯のうたい文句はいただけない。
「驚愕と衝撃!圧倒的な感動!
涙がとめどなく流れるー
善悪の根源を問う、著者初の長篇小説」
この本の本質とは、ずれていると思う。
★★★☆
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