沼尻竜典オペラセレクション ベルク「ルル」
びわ湖ホールで、ベルクの傑作オペラ「ルル」を見てきた。
滅多に見られないツェルハ補訂の3幕版での上演。
舞台には壁や反響板がなく、
天井や奥までがらんどうにしたつくり。
廃墟のような写真が後方に掲示され、
全体的に暗いイメージ。
昔よく見ていた、アングラ劇のよう。
嫌いではないが、反響板がないからだろう、
歌手の声が聞き取りづらかった。
歌手は、概ね満足のいく出来。
特にタイトルロールの飯田みち代、
感情をむきだしにした演技と歌は
観客に訴えるものがあった。
容姿も申し分なしで、ルルのイメージにぴったり。
ただ衣裳に関して、個人的な意見を述べるのなら、
もっと妖艶なものにしてほしかった。
ゲシュヴィッツ伯爵令嬢の小山由美、
同性愛という難しい役柄を見事に演じていた。
最後の場面も迫力満点だった。
男声陣ではアルヴァの高橋淳が一番の出来。
指揮者の沼尻竜典がよくコントロールしていたオーケストラ、
金管が弱いのは致し方ないとして、
全体的に音量不足。
もっと観客を圧倒するような演奏を聴かせてほしかった。
あと、オペラの本筋とは外れるが、
幻想のルル役、たかはしみほの
しなやかな動きには見惚れた。
ダンサーかと思って、
プログラムを見ると役者だとのこと。
芝居もぜひ見てみたい。
毎回楽しみにしている、びわ湖ホールのオペラ、
来年は3月に「ラ・ボエーム」、
そして秋には「トリスタンとイゾルデ」、
どちらも見逃せない。
●沼尻竜典オペラセレクション ベルク「ルル」
'09.10.5 びわ湖ホール 座席:3階C-8
指揮:沼尻竜典
演出・装置:佐藤 信
照明:齋藤茂男
衣裳 :岸井克己
管弦楽:大阪センチュリー交響楽団
ルル/飯田みち代
ゲシュヴィッツ伯爵令嬢/小山由美
アルヴァ/高橋 淳
劇場の衣裳係・ギムナジウムの学生・ボーイ/加納悦子
医事顧問官・銀行家・教授/片桐直樹
画家・黒人/経種廉彦
シェーン博士・切り裂きジャック/高橋祐樹
シゴルヒ/大澤 建
猛獣使い・力業師/志村文彦
公爵・従僕/清水徹太郎
侯爵(売春斡旋業者)/二塚直紀
劇場支配人/松森 治
15歳の少女/中嶋康子
少女の母 /与田朝子
女流工芸家/江藤美保
新聞記者/相沢 創
召使/安田旺司
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