乱反射/貫井徳郎
貫井徳郎の「乱反射」を読んだ。
500ページを超える長編、
寝る間を惜しんで、ほぼ1日で読み終えた。
倒れた街路樹で2歳の子どもが亡くなった。
事故の原因は単純ではなかった。
さまざまな人々の小さなエゴが重なって
事故は起きてしまった。
被害の幼児の父親は新聞記者。
事故の原因にかかわった人々を訪ね、
犯した罪を糾弾する・・・
一人一人の行為、行動は、
モラルの欠如、あるいは個人エゴといった
いわば些細なことばかり。
だれも罪を認めようとしないというのが現実社会。
憤りをどこにも持っていけないないやるせなさを、
見事な構成で描いている。
章立てが「−44」から始まり、
「−43」「−42」と過去から現在に遡り、
「0」になったとき幼児の事故が起きる。
単純なストーリーではあるが、
巧みな人物描写と、リアリティのある出来事の数々で、
極上の社会派エンターテイメント小説となっている。
タイトルの「乱反射」が今ひとつピンとこなかったことと、
東野圭吾の「白夜行」そっくりの装丁がマイナス点。
★★★★
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