完全恋愛/牧薩次
牧薩次の「完全恋愛」を読んだ。
2009年の“このミス”第3位、第9回本格ミステリ大賞受賞作。
ちなみに「牧薩次」は、作家・辻真先の別名義で、
キャラクターとして本作品にも登場する。
画家・柳楽糺(なぎらただす)の生涯を書いた物語。
彼は疎開先で小仏朋音に出逢い、
一生、彼女を愛し続ける。
そしてその人生の中で三度、大きな事件と関わりを持つ。
駐留軍の将校刺殺事件、
朋音の娘・火菜の遠隔殺人事件、
朋音の夫の溺死事件・・・
前述のとおり一般的な評価は高いけど、実際に読んでみて、
ミステリーとしても、恋愛小説としても、
中途半端だと思う。
どの事件のトリックも、無理をしてると感じる。
まあ、ミステリーというのはそういうものと
割り切ってしまえば、楽しめるのかもしれない。
時期は違うが、同じように昭和の時代を描いた
「オリンピックの身代金/奥田英朗」を読んだばかりなので、
その情景描写にも薄っぺらさを感じた。
ただ最後の最後、
タイトル「完全恋愛」にふさわしいオチがついている。
これは予想外、鮮やかなラストだった。
そうか、完全恋愛を成し遂げたのは、この人だったんだ・・・納得。
★★★
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