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June 05, 2009

METライブビューイング「ラ・チェネレントラ」

Donramirocenerentola


METライブビューイングを見てきた。
ロッシーニのオペラ「ラ・チェネレントラ」。
このタイトル、聞き慣れないが、
英語の表記はシンデレラ、だれもが知っている物語である。

ライブビューイングは、
NYメトロポリタン・オペラのライヴ映像の上映会で
今シーズン鑑賞したのは、
12月の「ファウストの劫罰」、1月の「タイス」、
3月の「ランメルモールのルチア」、
4月の「夢遊病の女」に続いて5回目。

毎回豪華な歌手が登場するライブビューイング、
今回は、チェネレントラ役のエリーナ・ガランチャが見もの。
欧州で人気があり、
メトではセビリアの理髪師に続き2作品目という
若手メゾソプラノ。

期待どおりの容姿と演技、
特に場面、場面での顔の表情が豊かで、
このまま女優としても大成するのではと
思うくらいに魅力的。
歌も素晴らしい。
完ぺきなコロラトゥーラに感動。

チェネレントラの義父であるドン・マニフィコ役は
アレッサンドロ・コルベッリ。
コミカルな演技が笑いを誘った。

哲学者のアリドーロ役はジョン・レリエー。
まだ若そうだが、今回の掘り出しもの。
黒いサングラスをかけた怪しげな老人の浮浪者や
白いスーツを着た天使を演ずるという
役柄を難なくこなしていた。
声はもちろんのこと、容姿もなかなかのいい男。

2人の姉妹はラシェル・ダーキン、パトリシア・リズリー。
チェネレントラをいじめ抜く一方、
ダンディーニが扮した偽王子を二人で奪い合うなど、
もう、やりたい放題。
ひとつひとつの行動や表情が大げさなので、
彼女たちが登場する場面は、笑いっ放しだった。

残念だったのは王子役のローレンス・ブラウンリーが、
背が低くて黒人系であったこと。
チェネレントラと王子は、
最初の出会いでお互いに一目ぼれするのだが、
この二人だと、それはないだろうと思ってしまう。
声は素晴らしかったんだけど・・・

舞台のセットはオーソドックなもの。
演出は過剰気味か。
第一幕ラストの食事の場面で
イスを奪い合いながら歌うなど、
あまり意味の無い演出が目についた。
もっと落ち着いて歌を聴きたかった。

ところで、ガランチャはまだ来日したことないと思っていたのだが、
以前、新国立劇場に登場している。
03シーズンの「ホフマン物語」でのニクラウス/ミューズ役。
このころはまだ名前もほとんど知られてなかった。

私は2年前の冬、パリのシャンゼリゼ劇場で
ベリオ「フォークソングズ」を歌ったのを聴いた。

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声も良かったが、それ以上に
存在感、カリスマ性を感じた、
まるでモデルのような。
ちなみに指揮はヤンソンス、オケはロイヤルコンセルトヘボウ。
来シーズンのMETライブビューイングでは、
新国と同じ「ホフマン物語」に登場する。
共演はネトレプコ!

この公演に限らず、来シーズンも魅力的なラインナップだ。
回数券を買って通い続けようと思っている。
絶対に外せないのは、
「アイーダ」「トゥーランドット」「ホフマン物語」「ばらの騎士」かな。

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