« May 2009 | Main | July 2009 »

June 28, 2009

シェルブールの雨傘(ジャック・ドゥミ監督)

Amagasa

ジャック・ドゥミ監督の「シェルブールの雨傘」を見てきた。
製作45周年を記念した“デジタルリマスター版”での上映。
この作品を映画館で見るのは4回目。
前回は13、4年前、
たしか渋谷宮益坂のイメージフォーラムで。

舞台はフランスのシェルブール。
傘店の娘ジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)と
自動車整備工のギイ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)は恋人同士で
結婚も考えていた。
兵役でギイに召集令状が届き、
彼は2年間、アルジェリア戦争に出征することに。
直後にジュヌヴィエーヴの妊娠ががわかる。
子どもが生まれるのを楽しみにしていたのだが、
若い二人に2年間は余りに長かった・・・

すべてのセリフに曲が付けられ、
語りの部分が一切無いミュージカル。
ストーリーはシンプルで、
ミシェル・ルグランの見事な音楽とともに、
実に味わい深い作品となっている。
ドヌーヴの初々しさも忘れられない。

全編、名場面の連続だが、特に印象的なのがラストシーン。
ガソリンスタンドの中でジェヌヴィエーヴが
車内に残っている女の子を見ながらつぶやく。
「あなたにとてもよくにている」「会う?」
ギイはゆっくりと首を横に振る。
そして「君はもう行った方がいい」
ジェヌヴィエーヴが去り、妻とわが子が戻ってくる。
カメラは引き、物語は終了する。
降りしきる雪が二人の過去をすべて包み込んでいく・・・(涙)

★★★★★

| | Comments (2) | TrackBack (0)

June 23, 2009

モダンタイムス/伊坂幸太郎

2150731


伊坂幸太郎の「モダンタイムス」を読んだ。

SE(システムエンジニア)の渡辺は、
ある日突然、殺し屋に襲われ
あやうく命を落としそうになる。
それから彼の周りでは、ひどい事件・事故に遭う人が相次ぐ。
どうやら、ある言葉の組み合わせをパソコンで検索すると、
被害に遭うことが分かってきた・・・

週刊モーニングで連載されたという変わり種の小説。
あとがきで
「全力疾走した短いお話を五十六個積み重ねたかのような」
との表現もあるくらい、
休む間もなく、話が展開していく。

タイトルの「モダンタイムス」は、
チャップリンの傑作映画から取っている。
システム化された近代社会の中では、
労働者は歯車になってしまうという風刺映画。
この小説には、何度もシステムという言葉が登場。
検索した人をひどい目に遭わせていたのは、
悪人や組織ではなく
"資本主義国家"のシステムであったというのは、
まさに、チャップリンの世界と重なる。

殺し屋、岡本猛や作家、井坂好太郎など、
いつものように個性的な人物がずらりと登場する。
なかでも奥さんの佳代子は、
歴代、伊坂ワールドでも最高、そしてたぶん最強。
こういう女性にしびれるワタシはM嗜好あり?

そして、最後にわかる超能力がアレとは(笑)
このあたりのセンスは、この作家らしい。

★★★★☆

| | Comments (0) | TrackBack (1)

June 21, 2009

ガマの油(役所広司監督)

Photo180210

役所広司の初監督作品「ガマの油」を見てきた。

デイトレーダーとして毎日、億単位の金を動かす拓郎(役所広司)は、
息子の拓也(瑛太)と妻・輝美(小林聡美)の3人で
田園調布の宮殿のような大豪邸に住んでいた。
ある日、親友・秋葉(澤屋敷純一)を迎えに行った拓也は、
途中で交通事故に遭う。
意識不明となった拓也の携帯電話に、
ガールフレンドの光(二階堂ふみ)から電話が掛かり
拓也になりすまして出てしまう拓郎だが・・・

う〜ん、期待していたんだけど、
結果的には大ハズレ。
役者はそろっている。
しかい、監督を兼ねた役所広司に、小林聡美、
瑛太、澤屋敷純一、二階堂ふみ、
さらには特別出演の八千草薫、
だれひとりとして魅力を引き出せていない。

寒い、イタいシーンの連続、しかも長い、
何度、席を立とうと思ったことか。
熊の場面、あれで笑えって言うのかよ〜、役所監督。
そしてラストの仏壇、

げっ、丹波哲郎の『大霊界』!

驚きを超え怒りさえ感じた。

最後まで中身の無いひどい映画。
星はひとつも付けたくないけど、
付け忘れたかと思われるので、いちおう半星を。
実質は0評価。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

June 18, 2009

男と点と線/山崎ナオコーラ

314321


山崎ナオコーラの「男と点と線」を読んだ。
世界各地を舞台にした男と女の物語が、
軽いタッチで描かれている短編集。

特別にぐっとくるような感動作はないし、
どこにでもありそうな、いわば、とりとめもない話ばかり。
6つの短編は関連性がなく、
ひとつひとつが淡々と終わっていく。

特にファンタジーっぽく描かれた「邂逅」と、
高校生のデートを中心とした「膨張する話」は、
私には相性が合わなかったようだ。
ほかの作品にも、アンバランスで不思議な感覚の文節があるが、
私には稚拙としか読み取れなかった。

芥川賞候補作の「カツラ美容室別室」を読んだときの感想が、
「特に感じるものはなかった」
今回もまったく同じ。
当分、この作家の作品を手に取ることはないと思う。

★★

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 14, 2009

クリエーターズマーケットvol.20

「つくる人の祭典」クリエイターズマーケットを見るため
6月13日、ポートメッセ名古屋まで行ってきた。

今回は時間に余裕がなかったので
1時間半ほど、ばたばたと会場内を練り歩くだけで、
作家とゆっくり話すことはできなかった。
そんな中でも、気に入った作品を写真で紹介したい。

Img_2849
まずは、喜田小夜子さん。
アートバトルブースに展示してあった作品
「明日へ見る夢」に1票。

Img_2874
ライブペイントブースは
その場で作家が作品を描くコーナー。
Mamiko Ohashiさんは前回見つけたお気に入りの作家。
乙女ちっくなくじらくんは、意外に目立っていた。

Img_2851
ビニールプールに水を張って
写真を浮かべていたブース。
意味不明だったけど、
囲んでいた乙女たちが雰囲気あったので・・・

Img_2854
こざわちはるさんのイラスト。
好きです、こういうひょうひょうとした動物たち。
特にうさぎときつね。

Img_2871
しらさぎゆきさんの似顔絵。
これはもうプロの仕事だねえ。

Img_2881
だれの作品か、分からないが、
カラフルなキャンドルは見ていて楽しい。

Img_2887
オリジナル手ぬぐいや布切れの“make a knot”さん。
このシマウマ、欲しかったんだけど。

Img_2883
太田由美さんのライブアート。
なかなかの大作。
足を止めてずっとながめていた。

Img_2897
かぶりものには目がないワタシ。
カス●ネットのお二人さん。

Img_2895

消防ホースを再利用したバッグのお店。
これってフライターグのあれだね。

Img_2839

Img_2911
ディスプレイの見事な2店。
上はインテリア、グリーンショップの
ジャングルスタジオロッカ。
気分はプチ・ジャングル。
下は贅沢にも4ブースを使って
車まで持ち込んだPICNIC-WORKS。
圧巻。

Img_2892
だるまグッズの「だるま笑店」。
小さなブースだったがディスプレイが秀逸。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

June 11, 2009

名古屋フィル ベートーヴェン・ツィクルス#2

名古屋フィルの「ベートーヴェン・ツィクルス」2日目を聴いてきた。
演奏曲目は交響曲第2番と第7番。

9曲の中では3、5、6、7、9番が人気、
残る4曲のうち、4、8番はまだしも
1、2番は、地方に住んでいると、なかなか聴けない曲。

前回聴いたベートーヴェンのチクルスは、
2002年から04年にかけての伝説の「チョン・ミョンフン×東京フィル」。
このとき、2番&3番だけは聴き逃しているので、
生の2番は今回が初めてであった。

その2番は、全体に軽やかな演奏。
軽すぎたのか、1、2楽章は印象に残っていない。
この日の午前中、仕事をしてきたため、少々疲れていたようだ、
時に意識を失うことも・・・
3楽章からは覚醒し、演奏に集中できた。
4楽章は快調に飛ばして終了。

休憩をはさんで7番。
刺激的で新鮮な演奏。
まず驚いたいのは、
1楽章が終わって間髪入れず、
アタッカで2楽章が始まったこと。
この解釈はどうかな、私は感心しない。
1楽章の熱狂のあとは落ち着いて、ひと息ついてから
2楽章を始めて欲しかった。

快調にリズムを刻む3楽章。
途中でテンポを緩めるあたりは絶妙で気持ちがいい。
そして終楽章に移るところ、ここもアタッカだろう、
多くの観客がそう思ったのでは。
ところがここは少しだけ休止。
そして孟スピードで終楽章が始まった。
オケは集中力を切らすことなく、
フルートもホルンもティンパニーも
ぎりぎりのところで指揮についていった。
キズも少なくなかったが、
そんなことは忘れてしまうくらい
興奮させてくれた、そんな演奏。

ミョンフン×東フィルのチクルスの7番が熱演だとすれば、
この日のフィッシャー×名フィルは快演であった。

●名古屋フィルハーモニー交響楽団 ベートーヴェンツィクルス#2
 (第17回市民会館名曲シリーズ)
 ’09.6.7 中京大学文化市民会館 オーロラホール 座席:3階4列45
 指揮:ティエリー・フィッシャー

ベ-トーヴェン:交響曲第2番
(休憩)
ベートーヴェン:交響曲第7番

| | Comments (2) | TrackBack (0)

June 10, 2009

今シーズンの芝刈り

Img_2706


今シーズンも芝刈りのシーズンが始まった。
芝の状態がよくなかったため、
5月に肥料をまいておいたら見事に復活した。

やっと1回目の芝刈りを終了。
この時期は雨もよく降るので、
生長が早い、早い。
月に2回は刈らないと、どんどん伸びていく。

今年もいい芝生ができますように祈りながら、
黙々と芝を刈るのであった・・・偉いっ!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 09, 2009

汐のなごり/北重人

32132286_3


北重人の「汐のなごり」を読んだ。
第140回直木賞候補作。

江戸時代、庄内藩あたりの水潟という湊町を舞台に、
慎ましく暮らす人々を描いた
短編小説6作品が収められている。

いずれの主人公も中年から老年で、
人生の晩年を迎えようとしている人たち。
おのれの人生を振り返ったときに浮かんでくる想いを
独特な雰囲気をもって描いている。

どれも印象深い作品ばかりだが、特に「海羽山」。
幼いころに飢饉で津軽から逃れる途中、
生き別れになった兄弟が50年後に再会を果たす。
弟は兄から、父と母の驚くべき最期を聞く。

また「海上神火」は、
ずっと男を待ち続けている元遊女の物語。
その恋が、波瀾万丈の末、ようやく叶おうとしている。
エンディングの美しさ・・・
うまい、と、思わず唸ってしまった。 

米相場を扱った「合百の藤次」だけは、
どうしても興味を持てなかったので、
少々減点。

★★★★

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 06, 2009

いのちなりけり/葉室麟

32112782


葉室麟の「いのちなりけり」を読んだ。
第140回直木賞候補作。

小城藩の重臣・天源寺刑部の婿となった雨宮蔵人は、
初夜に新妻の咲弥から言い渡された。
「これぞとお思いの和歌を思い出されるまで
寝所はともにいたしますまい」
そんな咲弥であったが、蔵人は静かに思い続ける。

蔵人は江戸屋敷に勤務するようになり、
次期藩主の元武から、
お国に帰るときに舅の刑部を討てとの命令を受ける。
命令を遂行し脱藩して、流れ着いた京で警護役に就く。
警護の合間には書を読み、好きな和歌を探した。
咲弥との約束を果たすために。
咲弥も思わぬ展開を経て、
水戸・徳川光圀の小石川の屋敷に奥女中として仕える。

月日は流れ、光圀と将軍綱吉の対立の中で、
数奇な運命により引き裂かれた二人が再びめぐり合う・・・

一途な二人の忍ぶ恋に心を揺さぶられた。
読み応えのある大人の恋愛小説。
歴史小説が好きであれば読むべし。

この美しいタイトルは、古今和歌集の
「春ごとに 花のさかりは ありなめど 
 あひ見むことは いのちなりけり」
から採られ、
文中でも引用されている。

★★★★★

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 05, 2009

METライブビューイング「ラ・チェネレントラ」

Donramirocenerentola


METライブビューイングを見てきた。
ロッシーニのオペラ「ラ・チェネレントラ」。
このタイトル、聞き慣れないが、
英語の表記はシンデレラ、だれもが知っている物語である。

ライブビューイングは、
NYメトロポリタン・オペラのライヴ映像の上映会で
今シーズン鑑賞したのは、
12月の「ファウストの劫罰」、1月の「タイス」、
3月の「ランメルモールのルチア」、
4月の「夢遊病の女」に続いて5回目。

毎回豪華な歌手が登場するライブビューイング、
今回は、チェネレントラ役のエリーナ・ガランチャが見もの。
欧州で人気があり、
メトではセビリアの理髪師に続き2作品目という
若手メゾソプラノ。

期待どおりの容姿と演技、
特に場面、場面での顔の表情が豊かで、
このまま女優としても大成するのではと
思うくらいに魅力的。
歌も素晴らしい。
完ぺきなコロラトゥーラに感動。

チェネレントラの義父であるドン・マニフィコ役は
アレッサンドロ・コルベッリ。
コミカルな演技が笑いを誘った。

哲学者のアリドーロ役はジョン・レリエー。
まだ若そうだが、今回の掘り出しもの。
黒いサングラスをかけた怪しげな老人の浮浪者や
白いスーツを着た天使を演ずるという
役柄を難なくこなしていた。
声はもちろんのこと、容姿もなかなかのいい男。

2人の姉妹はラシェル・ダーキン、パトリシア・リズリー。
チェネレントラをいじめ抜く一方、
ダンディーニが扮した偽王子を二人で奪い合うなど、
もう、やりたい放題。
ひとつひとつの行動や表情が大げさなので、
彼女たちが登場する場面は、笑いっ放しだった。

残念だったのは王子役のローレンス・ブラウンリーが、
背が低くて黒人系であったこと。
チェネレントラと王子は、
最初の出会いでお互いに一目ぼれするのだが、
この二人だと、それはないだろうと思ってしまう。
声は素晴らしかったんだけど・・・

舞台のセットはオーソドックなもの。
演出は過剰気味か。
第一幕ラストの食事の場面で
イスを奪い合いながら歌うなど、
あまり意味の無い演出が目についた。
もっと落ち着いて歌を聴きたかった。

ところで、ガランチャはまだ来日したことないと思っていたのだが、
以前、新国立劇場に登場している。
03シーズンの「ホフマン物語」でのニクラウス/ミューズ役。
このころはまだ名前もほとんど知られてなかった。

私は2年前の冬、パリのシャンゼリゼ劇場で
ベリオ「フォークソングズ」を歌ったのを聴いた。

前の記事

声も良かったが、それ以上に
存在感、カリスマ性を感じた、
まるでモデルのような。
ちなみに指揮はヤンソンス、オケはロイヤルコンセルトヘボウ。
来シーズンのMETライブビューイングでは、
新国と同じ「ホフマン物語」に登場する。
共演はネトレプコ!

この公演に限らず、来シーズンも魅力的なラインナップだ。
回数券を買って通い続けようと思っている。
絶対に外せないのは、
「アイーダ」「トゥーランドット」「ホフマン物語」「ばらの騎士」かな。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 03, 2009

重力ピエロ(森淳一監督)

332673view001

森淳一監督、伊坂幸太郎原作の「重力ピエロ」を見た。

物語の舞台は仙台。
奥野泉水(加瀬亮)と奥野春(岡田将生)は仲の良い兄弟。
養蜂を営む父(小日向文世)と3人で暮らしていた。

市内で放火事件が立て続けに起きる。
春は落書きを消す仕事をしていたが、
落書きの場所が放火現場に近いことに気づき、
大学院で遺伝子工学を学ぶ泉水に相談する。
2人が事件の真相に迫るにつれ、
亡くなった母と奥野家族にまつわる忌まわしい過去が
次第に明らかになってくる・・・

キャスティングが絶妙。
主役の加瀬亮、岡田将生の兄弟と
父親の小日向は、はまり役といえる。
しかし、何といっても暴行犯役の
渡部篤郎の不気味な存在感がいい。
にやりと笑いながら自分勝手な主張をする姿にはぞっとした。

ミステリーではあるが、謎解きはそれほど重要ではなく、
親子の絆、兄弟愛を描いたヒューマン・ドラマとして仕上がっている。
「おれ達は最強の家族だ」という父親の言葉は、
血のつながりよりも大切なものを訴えていて、感動的。

では、映画は原作を超えたかというと、
残念ながらNo!かな。

★★★☆

| | Comments (2) | TrackBack (0)

« May 2009 | Main | July 2009 »