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May 27, 2009

どこから行っても遠い町/川上弘美

441205

川上弘美の「どこから行っても遠い町」を読んだ。

舞台は都内のどこかにある小さな商店街。
魚屋、鳥肉屋、八百屋、料理店などに出入りする人たちが
11の短編の主人公。
1話ごとに語り手が代わり、それぞれ完結はしているが、
登場人物は少しずつ重なる連作短編集。

平凡な日常が淡々と描かれている。
登場する人物は日常の中で周りの多くの人と関係し、
ときに支えあって生きている。
そして、派手ではないけれど、
それぞれの人生に物語がある。

作品を締めくくる第11話は「ゆるく巻くかたつむりの殻」。
20年以上前に亡くなった魚屋の女房が語り手となり、
彼女の回想と今を生きる人たちの物語がつらなる。
ハッピーエンドでもないし、
何かが解決したわけでもないけれど、
美しい結びにため息が出た。

評価:★★★★★

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