ファミリーポートレイト/桜庭一樹
桜庭一樹の「ファミリーポートレイト」を読んだ。
作品は二部構成で、第一部は『旅』。
主人公はマコとその娘のコマコで、
2人の逃避行と破滅的な日々を描いている。
母のマコから虐待を受けながらも、
なおもマコを愛し、どこまでもついていく、けなげなコマコ。
第二部は『セルフポートレイト』。
17歳となったコマコ、
自堕落な生活を送るうちに男を知り、女を知る。
やがて、子どもの頃からずっと続けていた読書が
コマコを救うことになる・・・
いつものことながら、
この作家の話の展開には圧倒される。
特に第一部。
「葬式婚礼」という
本当にあるのか無いのか分からない怪しげな風習の場面など、
エログロそのもので吐き気を催すほど。
その後も、現実離れした毒のあるおとぎ話が続く。
第二部は、コマコのサクセスストーリー。
十代で廃人同然となっていたコマコだったが、
書くことで少しずつ生きる力をつけ、
ついには独り立ちする。
文学界の描き方も生々しい。
文学賞の発表を待つ間の緊張感や、
授賞式での様子などは、
自叙伝的に書かれているのではないか。
評価:★★★★★
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