« チェ 39歳 別れの手紙(S・ソダーバーグ監督) | Main | 「赤テント」のちらし »

February 14, 2009

テンペスト(上 若夏の巻、下 花風の巻)/池上永一

200803000554

池上永一の「テンペスト」上下巻を読んだ。
各400ページ以上、しかも2段組みという、
とんでもないボリュームだが、
読み始めたら止まらなかった。

十九世紀、琉球王朝の末期が舞台。
孫家に生まれた真鶴は、とてつもない才知の持ち主。
しかし女であるがゆえに、学問をすることができない。
王宮に入ることも不可能であった。
不満を抱いた彼女は、性別を偽り、
宦官(かんがん)・孫寧温として難関の科試を突破。
役人として琉球のために尽くそうとする。

しかし時代は大きく変わろうとしていた。
琉球が国家滅亡の危機を迎える中、
真鶴は波瀾万丈の人生を歩むことになる・・・

個性的な人物が次から次へと登場して、
本の帯にある、作家、有川浩の言葉
「ルール無用の大河ジェットコースター、
乗車中の高揚感にご注意願います」に、
これって大げさだろうと思いながらも、
うんうん、そうそうとうなずいてしまう。

兄の嗣勇に、寧温の良きライバル朝薫、薩摩藩士の雅博、
どこまでも堕ちていく真牛、
御内原で出世していく思戸、真鶴の親友の真美那・・・
だれもがいい味を出している。
ただ、清国の宦官・徐丁垓だけは、ちょっとどうかな?
気持ちが悪いというか、
女性ならこの表現はひいてしまうのでは。

今まで琉球の歴史、特に近代史については
まったく知識も関心もなかった。
国内は30代までに大方、訪ね歩いているが
沖縄は一度も訪れたこともない。
しかしこの小説を読んで、俄然、興味を持った。

この作品、本屋大賞にノミネートされているが、
本命「出星前夜」の対抗馬か。

評価:★★★★★

|

« チェ 39歳 別れの手紙(S・ソダーバーグ監督) | Main | 「赤テント」のちらし »

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference テンペスト(上 若夏の巻、下 花風の巻)/池上永一:

» 夜は短し歩けよ乙女【森見 登美彦】 [本・月のうさぎ堂]
京都が舞台の春夏秋冬に分かれた4編の連作短編集です。2人のすれ違う視点を行き来するのがとても楽しい。ラストはほっこりハッピーエンド。 [Read More]

Tracked on March 02, 2009 01:49 AM

« チェ 39歳 別れの手紙(S・ソダーバーグ監督) | Main | 「赤テント」のちらし »