黒百合/多島斗志之
多島斗志之の「黒百合」を読んだ。
昭和27年の夏休み、東京に住む14歳の進は,
父の友人が所有する六甲山の別荘に招かれる。
そこに住む一人っ子の一彦と2人で遊んでいるうちに
近くの立派な別荘に住む香と出会う。
同い年の3人はお互い引かれ合い、毎日会うようになる・・・
と、ストーリーだけを追っていくと、
少年少女の「思い出の夏」の物語。
しかし途中で、進と一彦の父親の青春時代や、
香の叔母、日登美の過去の話が挿入され、
2件の殺人事件が起きる。
犯人はいったいだれなのか、読者は最後の最後に知らされる。
これが実に巧妙なトリック、完全にだまされてしまった。
改めて読み返すと、西暦と昭和の元号を使い分けていたり、
細かい点でも、著者がうまく読者を誤導するように書かれている。
参った!本格ミステリーの面白さを堪能できる傑作。
評価:★★★★★
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