利休にたずねよ/山本兼一
山本兼一の「利休にたずねよ」を読んだ。
天童荒太の「悼む人」とともに、第140回直木賞を受賞。
無二の美意識を持つ千利休。
天下一の茶人といわれ、秀吉に仕えていたが、
最後はその秀吉から命ぜられて切腹した。
その生涯を追っていくと、
肌身離さず持っていた緑釉の小さな壺と、
それにまつわる女性との恋が浮かび上がってきた・・・
短い章で、視点を変えながら、
利休と彼を取り巻く人物や時代背景を克明に描写している。
ミステリータッチになっており、読み手を飽きさせない。
学生時代、日本史を習ったときに疑問に思った
利休が秀吉から切腹を命じられた背景も
これならよく理解できる。
“利休好み”といわれる美的センスだけでなく、
戦国武将の参謀としての能力も備えた
利休の天才ぶりは魅力的。
私も利休のような「目利き」でありたいと思った。
ところで、この本を読んでいる最中に、
直木賞受賞を知った。
今回の候補作には歴史小説が多く、
どれか1冊は受賞するだろうと思っていた。
この作品だったとは。
タイミングの良さがうれしかった。
評価:★★★★★
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