ばかもの/絲山秋子
絲山秋子の「ばかもの」を読んだ。
主人公は、毎日を気ままに過ごす大学生のヒデ。
年上の恋人額子に夢中になるのだが、
ある日突然、ひどい仕打ちを受けて振られてしまう。
何とか大学を卒業、就職はしたが、
ヒデの生活は次第に荒廃していく。
酒量が増え、泥酔、暴力ざた、無断欠勤を繰り返し、
仕事や恋人、友人を失い
とうとうアルコール依存症に。
一方の額子、ヒデと別れて結婚したものの、
不慮の事故で片腕を失ってしまう。
その後、離婚をして不自由な体で一人暮らし。
そんな二人が再び会うことに・・・。
第一章ではリアルな性描写が続く。
これってエロ小説? 嫌いではないけど。
二人が別れてからは突然シリアスな物語に。
ヒデの堕落ぶりは読んでいて気分が悪くなるほど。
それでも再会後は少し光が見えてくる。
そしてラスト、はっきりは書かれていないけど
これってやはり悲劇?
ヒデが額子に向かって「ばかもの」と叫んだ後どうなったのか。
想像どおりだとすると、こんな悲しい結末はない。
ところで、何度も登場した
ヒデにだけ見えるという「想像上の女性」は
いったい何者なんだろうか。
結局、最後まで明かされなかった。
このもやもやはどうしてくれる?
とはいえ、この作品の評価が下がるわけではないので。
評価:★★★★★
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