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January 11, 2009

チェーン・ポイズン/本多孝好

2151301


本多孝好の「チェーン・ポイズン」を読んだ。

主人公は仕事に疲れた36歳の独身OL。
恋人もいないし、ましてや結婚のあてもない。
魅力に乏しい30代の女性に対して世間の風は冷たく、
ブログで救いを求めても、書かれたコメントは
「シネ」「消えなよ」「ウマレテキタノガ、マチガイデシタネ」・・・
絶望した女性は死を考えるようになる。
仕事をさぼってぶらぶらしているときに謎の人物から声を掛けられる。

「1年我慢すれば私が楽に死ねる手段を差し上げます。」
「きっかり1年後、私はまたここにきます。
もしそのとき、その気になったら、ここに来てください。
私が1年頑張ったご褒美を差し上げます。」と。
女性は死ぬことを生き甲斐にして、残りの1年を生きようと考える。

一方、耳の病気で絶望した天才ヴァイオリニストと、
凶悪犯罪の被害者の遺族の男性が毒物自殺した。
直前に2人を取材したのが週刊誌の記者、原田。
彼はこの偶然に疑問を抱き、
関係者に話を聞き始めた。
同時に、やはり毒物により自殺した高野章子というOLについても
その関係を疑うようになる・・・

最後まで読み終えると、あれっ?
戻って読み返すこと数回、
なるほどこういうことだったのか。
トリックというか、どんでん返しというか、
見事にだまされた。

「MISSING」「FINE DAYS」のころのような透明感はないが、
なかなか上質のミステリー。
少なくとも前作の「正義のミカタ」よりは好みの作品。

評価:★★★★

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Comments

こんばんは。本多孝好さんの本はまだ読んだことがないんですが…ミステリー面白そうですね!


ラストはどんでん返しですか?こうゆう作品は気になります♪

Posted by: くぅ | January 15, 2009 11:39 PM

くぅさん

ラストは見事にだまされました。
最初はよくわからなくて
読み返したんです。
でも理解できず再々読、
3回目にやっと、な・る・ほ・ど・・・

おすすめです。

Posted by: るうかす | January 15, 2009 11:55 PM

はじめまして。
私は院長が首謀者だと思っていました。
そして違うラストであれば自殺を美化してしまいそうでした。
トリックには驚きました。
となると、高野さんが気の毒でなりません。
薬によって、生きがいを見つけられた人と、見つけられなかった人。
出会いによって人の選ぶ道って違うんですね。

Posted by: fumika | January 19, 2009 09:05 PM

fumikaさん、
ご訪問ありがとうございます。

たしかに私も途中で
院長は怪しいと感じていました。

生きがいを見つけたおばちゃんと原田が
公園で巡り会うラストは、
じんと来ましたね。


Posted by: るうかす | January 20, 2009 12:09 AM

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