天然コケッコー(山下敦弘監督)
第30回ぎふアジア映画祭で
山下敦弘監督の「天然コケッコー」を見てきた。
'07年度キネマ旬報「日本映画ベストテン」の第2位。
小中学校が同じで全校児童生徒が6人の分校に通う、
中学2年生のそよ(夏帆)が主人公。
ある日、東京から同じ学年の大沢広海(岡田将生)が転校してきた。
生まれて初めての同級生、
都会の雰囲気を持ったかっこいい少年、
そよは期待に胸ふくらむ。
次第に親しくなっていく二人。
海水浴、神社境内での初キッス、季節は秋から冬に、
そしてまた春がやってきた。
修学旅行は、そよの希望が通って東京へ。
広海の住んでいた街を初めて見て、
最初は喜んでいたそよだったが・・・
小中学校が一緒の校舎と、全校生徒6人という設定に、
まずはため息。
40歳代から上の世代は、この田舎の校舎や村の風景から
たまらなくノスタルジーを感じるのではないか。
そして四季折々に変化していく美しい自然。
人間関係がウェット過ぎるところは玉にきずだが、
こんな環境にいれば子どもたちは皆、
すくすくと育っていくのだろうなと想像する。
中学2年生を演じた夏帆が、
最高にかわいくて、
初恋に揺れる乙女心を見事に演じ切っていた。
子どもたちの会話は演技とは思えないような自然さで、
まるでドキュメンタリーを見ているようだった。
大きな事件が起きるわけでもない、
淡々と進む田舎での日常生活を描いたこの映画は、
見るものすべてを幸せにする不思議な魅力を備えている。
卒業式の日、教室から出ていったそよをとらえたカメラは、
大きくゆっくりと回って、懐かしい教室を見せてくれる。
カメラが窓まで到達すると、
そこには高校の制服を着たそよが。
校庭には村の人たちがつどい、
さて、これから花見でも始まるのだろうか。
いいラストシーンだった。
評価:★★★★★
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