田村はまだか/朝倉かすみ
朝倉かすみの「田村はまだか」を読んだ。
40歳の男女5人が同窓会の三次会で、
札幌ススキノのスナック「チャオ!」を訪れた。
バーのマスター花輪春彦に常連の永田一太、「腕白」池内暁、
「いいちこ」加持千夏、「コルレオーネ」坪田隼人、「エビス」伊吹祥子が
まだ到着しない同級生の田村を待っている間に、
それぞれ過去を振り返る。
構成がうまい。
第一話はマスター花輪の視点で描かれている。
客も、常連の永田の名前が出て来るだけで、
ほかはその他大勢。
第二話になると、池内暁と二瓶正克の2人が登場。
これは第一話とは別の話かなと思っていたら
最後になってつながってくる。
以後、客たちの仕事や家庭の話が続き、
名前や心の奥底に秘めた思いが次々と明らかになっていく。
意外な展開で田村が登場、
それまでのコメディモードが急転する。
そして最後に二瓶と田村は顔を合わせる。
二瓶の言葉、
「きみ、いい男だね」
思わずにやりとさせられ物語は終わる。
最後はしみじみするとてもいい作品だった。
評価:★★★★
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