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November 23, 2008

ぐるりのこと。(橋口亮輔監督)

002


橋口亮輔監督の「ぐるりのこと。」を見てきた。

時は1993年。
出版会社のOL妻・翔子(木村多江)と、
靴修理のアルバイトをする夫・カナオ(リリー・フランキー)の
夫婦の再生物語。
美大を出て画家になる夢を捨てきれないカナオは、
夏目先輩(木村祐一)から法廷画家の仕事を頼まれる。
時を同じくして翔子は妊娠、
幸せいっぱいの二人だったが悲劇が訪れる。
生まれたばかりの子が亡くなってしまったのだ。
夫とセックスをする日を事前に決めているほど
几帳面で生真面目な翔子は、
悲しい出来事から立ち直れず、やがて精神を病んでいく・・・。

この映画の特徴は、主役の夫婦の物語と、
90年代の大ニュースと並行して見せている点にある。
幼女誘拐殺人、地下鉄毒ガス事件、小学児童殺傷事件など、
元になる事件はすぐに思い浮かぶ。
夫婦が次第に癒されていっても
世の中の事件は相変わらずで救いようがない。

木村多恵とリリーフランキーの自然な演技がいい。
特に冒頭の夫婦の長回しのシーン。
ちょっとHな夫婦の会話や絶妙な間には
見てはいけないものを見てしまったような、
妙なリアリティがあった。
これってアドリブも含まれているのかもしれない。

二人以外にも、母(倍賞美津子)、兄(寺島進)、
その妻(安藤玉恵)などの親族、
司法記者・安田(柄本明)の法廷画家仲間・吉住(寺田農)など、
一癖二癖あるバイプレーヤーが味のある演技を見せてくれた。
さらに、公判シーンでは、
被告人、弁護士、裁判官などに
加瀬亮、田辺誠一、横山みどりら渋い役者を配し、
緊張感の中にもニヤリとさせられる場面も少なくなかった。

評価:★★★★★

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