おくりびと(滝田洋二郎監督)
滝田洋二郎監督の「おくりびと」を見てきた。
平日の夜とはいえ、映画館は7割の入り。
中高年の夫婦が多かったのはこの映画の特徴。
チェロ奏者の小林大悟(本木雅弘)は
所属のオーケストラが解散したため失業、
傷心のまま妻の美香(広末涼子)と故郷の山形に戻った。
職探しを始め「高給保証」で飛びついたのが納棺業。
早速、社長(山崎努)の見習いとして働くことになった・・・
日本人の死生観を見事に描いた感動作。
本木雅弘と山崎努のコンビも絶妙、
二人の納棺の所作は様式美というのにふさわしい。
シリアスな映画であるのにユーモラスな場面が少なくないのも
この映画の魅力である。
ただ、どうしても納得いかないことがある。
「けがらわしい!」とまで言って家を出ていった美香が、
妊娠したため戻ってくる。
生まれてくる子のためにも、転職を考えてほしいと願うのは
若い女性の感覚としておかしくない。
タイミング良く、友人の母である山下ツヤ子(吉行和子)が亡くなり、
納棺をする大悟の姿を見て、美香の考え方が変わってくる。
夫の所作が見事で、崇高な仕事であることが理解できても
だからといってすぐに、仕事を続けていいよ、というのは
どうなんだろう、そんな簡単に気持ちが切り換えられるものだろうか。
「職業に卑賤なし」とはいうものの、
それは建前であって、我々の心の奥底にある本音は?
エンドロールが流れるのを見ながら、
そんなことを考えた。
評価:★★★★☆
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