百瀬、こっちを向いて。/中田永一
中田永一の「百瀬、こっちを向いて。を読んだ。
聞きなれない名前だと思っていたら
某有名作家の別のペンネームらしい。
タイトル作と「なみうちぎわ」「キャベツ畑に彼の声」「小梅が通る」の
短編4作品が収録されている。
関連性はないが、どれも主人公が地味で、
一風変わった恋愛を描いている。
一番気に入ったのは最後の「小梅が通る」。
容姿に恵まれた女子高生が、
転校先の学校ではブスのメイクをして地味に生活している。
前の学校では、その美形のせいで
男子からは絶大な人気を誇り
一方、女子からは誰よりも嫌われていた。
自分の顔のせいで周りの人たちの態度が大きく変わってしまうことで、
人間不信に陥っていた。
ある日、偶然会った同級生の男子に
つい、妹の小梅と名乗ってしまう。
小梅を気に入った男子は、会わせて欲しいとせがむのだが・・・
4作品とも余韻のある終わりかたが印象に残る。
まさに、恋愛小説の王道。
ベタなラブコメ、おこちゃま向け青春小説と言えばそれまでだが、
ときにはこんな小説も気晴らしにいい。
評価:★★★★
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