荒野/桜庭一樹
恋愛小説家の父を持つ12歳の少女、山野内荒野が主人公。
もう子どもではないが大人ともいえない、
そんな微妙な年ごろの心の揺れを描き出している。
前半は、少女マンガのように軽く、
読み続けるかを迷うくらいの内容だった。
第二部での義母・蓉子さんの妊娠あたりから
わくわくして先を読むようになった。
荒野と悠也、そして中学からの友達、
麻美と江里華を中心に話は進む。
一方でパパと蓉子さん、そして取り巻く大人たちの関係が、
何とも色っぽく描かれており、
こちらの展開の方が楽しめた。
読み終えてから知ったが、
この作品、以前に文庫で出版された少女小説をベースに
加筆して1冊の本にまとめたらしい。
確かに面白いのだが
「赤朽葉家の伝説」「私の男」に比べたら
ずっと読みやすいし毒もない。
そこが評価の分かれるところだろう。
評価:★★★★
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