名フィルサマーコンサート『運命』
開演が近づき、まず驚いたのは、客席がほぼ満席であったこと。
特に1階はよく埋まっていた。
ティエリー・フィッシャー人気なのか、
あるいは単に名曲「運命」めあてなのか。
子ども(10代というより、それ未満)が多かったから後者かな。
というわけで1曲目のドビュッシー。
2楽章、抑え気味ながらきちんとリズムを刻むオケ。
3楽章も女声合唱が主役となりオケは控え目。
指揮者の意図がはっきりとした演奏だった。
岡崎混声合唱団は今回もすばらしい。
10分間だけというのが何とも惜しかった。
2曲目はショスタコーヴィッチで、
ワタシ的にはこの日のメイン。
実は生で聴くのは初めて。
プログラムを見ると顔写真が
とってもチャーミングなバイバ・スクリデが登場。
実際に見ると・・ずいぶん印象が違う(笑)
まあこの世界ではよくあることで(汗)、
体格どおりの迫力ある演奏が聴けた。
この曲は聴かせどころがいっぱい。
特に3楽章の長大なカデンツァでは手に汗を握った。
そしてアタッカで4楽章へ。
ここがまたカッコイイところ、のはずなのだが、
ちょっとオケが外したかな。
それでも最後まで緊張感を維持して終了、
やれやれこの曲は弾く側も大変だが、聴き手も体力を消耗する。
予想していなかったスクリデのアンコール。
ここでバッハが選ばれたのは、流れとしては必然かな。
しかしショスタコーヴィッチを演奏した後のアンコールは
ほんとうにお疲れさま。
申し訳ないような、うれしいような複雑な心境。
インターバルの後は、ベートーヴェン交響曲第5番。
1楽章、気になる「ダ、ダ、ダ、ダァ~ン」の入り方だが、
早い、早い、間髪を入れないとはこのこと。
超快速の演奏でこのままだと2楽章以降、どうなるんだろうと
期待半分、心配半分だったが、
意外にも落ち着いた演奏に戻ってしまう。
いや、4楽章の最後はまた追い込んでいくんだろうと思ったら、
それほどでもなかった。
全楽章聴き終えると、
2〜4楽章がまとまりのある演奏で、
1楽章だけがひと際、とんがった演奏であった。
ともあれ、楽しませてもらった。
この指揮者、何をやらかすか分からない。
これからも聴き逃せないなという率直な感想。
アンコールはドビュッシー。
ぐるっとまた1曲目に回帰するという意図かな、お見事。
●名フィル市民会館名曲シリーズ サマーコンサート
ティエリー・フィッシャー・セレクションⅡ『運命』
’08.8.31 中京大学文化市民会館オーロラホール 座席:1階21-4
指揮:ティエリー・フィッシャー
ヴァイオリン:バイバ・スクリデ
女性合唱:岡崎混声合唱団
ドビュッシー:夜想曲
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調
(アンコール)バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より第3曲「サラバンド」
ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調作品67「運命」
(アンコール)ドビュッシー(ビュッセル編):小組曲より第2曲「行列」
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