村田エフェンディ滞土録/梨木香歩
梨木香歩の「村田エフェンディ滞土録」を読んだ。
物語は明治32年、
主人公である考古学者の村田は、トルコに国費留学する。
下宿先は英国人のディクソン夫人宅、
ここには他にもドイツ人のオットー、
ギリシア人のディミィトリスが、
そしてトルコ人のムハンマドが料理人として住み込んでいた。
国籍も宗教も考え方も全く違うもの同士が、
寝食を共にすることで、次第に理解を深めてゆく。
時代は第一次世界大戦の直前、
トルコの国内外でも次第に暗さを増しつつあった。
否が応でも時代の波に飲み込まれていく登場人物たち。
淡々と進む物語は最後に急展開をみせる。
胸に迫るラスト。
もし10代のころにこの本を手にしていたら
きっと違う人生を歩んでいたと思う。
図書館で借りた本だが、
ぜひ手元に置いておきたい1冊。
エフェンディとは名前の敬称、土はトルコのことで、
タイトルは「村田先生のトルコ滞在記」というような意味であろう。
評価:★★★★★
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