みなさん、さようなら/久保寺健彦
久保寺健彦の「みなさん、さようなら」を読んだ。
主人公の悟は、小学生のときに遭遇したある事件をきっかけに、
住んでいる団地から出ることをやめた。
団地内だけで遊び、卒業後の就職も団地1階の洋菓子店、
団地の中だけが彼の生活エリアだった。
しかし小学校の同級生107人は、
月日が経つにつれ、団地から出て行ってしまう・・・
高度成長期に、大都市郊外に建てられた団地は、
過疎化と高齢化で、大きな問題を抱えている。
そこを舞台にしているのは面白いし、
団塊ジュニアの世代は、大いに郷愁を感じるかもしれない。
しかし、団地内だけでの生活を選択した主人公は理解しがたいし、
毎日欠かさないパトロール活動に関しては、
共感できないどころか、薄気味悪ささえ感じる。
評価:★★★
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