映画篇/金城一紀
「太陽がいっぱい」など5本の映画をテーマに、
友情や愛を描いた短編集。
映画を通じた親友・龍一との友情を描く「太陽がいっぱい」。
連れ合いが自殺し、引きこもってしまった主婦が
レンタルビデオショップの店員の若者から
力を得る「ドラゴン怒りの鉄拳」。
学校生活に飽きた高校生カップルが強盗を企てる
「恋のためらい/フランキーとジョニーもしくはトゥルー・ロマンス」。
両親が離婚協議中の少年が、いじめッ子に囲まれたとき
突如として現れ彼を助けた
謎のおばさんライダーを描く「ペイルライダー」。
夫を亡くしてへこんでいたおばあちゃんを、
元気づけるために映画上映を計画する孫たちを描いた「愛の泉」。
5作品はゆるやかにつながっている。
レンタルビデオ店や、
金持ちの主婦がアラブ人の若者と恋に落ちる謎のフランス映画、
製薬会社の薬害事件、
そして全篇に登場するのが「ローマの休日」上映会。
ここでは、登場人物が一堂に会し、
さながらロバートアルトマン監督の群衆劇といった雰囲気。
映画好きにはたまらない。
本の前扉にある「ローマの休日」の
手作りポスターもイカしてる。
ところで前述した“謎のフランス映画”、
これは実在するんだろうか。
全く見当がつかないだけに気になってしまう。
評価;★★★★★
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