ベーコン/井上荒野
井上荒野の「ベーコン」を読んだ。
第138回直木賞の候補作。
この作家の作品は読んだことなかったので
これを機に、手に取ってみた。
妻に子どもが生まれたばかりの不倫相手に対し、
母の得意料理をふるまう「ほうとう」。
飼い猫を探しているうちに、
つい出来心で若い男性と性行為をする「アイリッシュ・シチュー」。
家を出た亡き母が、
一緒に山奥で暮らしていた男の元を何度も訪ねる「ベーコン」。
男女の仲と、それにまつわる食べ物の短編が
9編収められている。
たしかに食べ物の印象、例えば味やニオイ、食感、
あるいは誰と一緒だったとか、その場の雰囲気とかは、
記憶に残っているものだ。
それが異性にかかわるものであれば、なおさらのこと。
どの作品も、食べ物の表現と男女の微妙な心の揺らぎが
生々しく描かれている。
短編はあまり好きではないが、
これは久しぶりに気に入った。
評価:★★★★☆
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