ドレスデン国立歌劇場「ばらの騎士」
11月にNHKホールで見てきた
ドレスデン国立歌劇場「ばらの騎士」のレビュー。
今年2回目の「ばら」で、前回は新国立劇場、
このときも期待以上の出来だったが、
ドレスデンの「ばら」は別格だった。
まずはファビオ・ルイジ指揮のオーケストラ。
巧みに緩急をつけた演奏にわくわくした。
じっくり聴かせるところは弦や管が美しく響き、
場面を大きく盛り上げていた。
歌手はオックス男爵のクルト・リドルが圧倒的。
いやらしいオヤジだが、どこか憎めないという難しい役柄を
見事に演じ切っていた。
いやあ、笑わせてもらった。
マルシャリンはアンゲラ・デノケが急きょ来日できなくなり、
A・シュヴァンネヴィルムスに交代。
声量不足が気になったが演技力は相当なもので、
下着姿やきわどい演出にも、十分こたえていたように思う。
オクタヴィアンのアンケ・ヴォンドゥンクも同じような印象。
問題はゾフィーの森麻季。
声が細く、2階席からでは聴き取りづらい。
現地ドレスデンでも歌っているはずなのだが、
この伝統ある歌劇場では、やや荷が重かったか。
演技からも緊張感が伝わってきた。
舞台装置は写実的。
後で知ったのだが、
第1幕はドレスデン初演時の舞台スケッチを
基にしたものだそうだ。
第2幕のファーニナルの家は高層マンションの1室だろうか、
窓からはネオンに輝くウィーンの街並みが見える。
ここでやっと、時代設定は20世紀であることが分かる。
第3幕は、地下にある怪しい飲食店。
SM女王風の男やボクサーなどが乱入してきての
ドタバタ劇が繰り広げられる。
そして後半の三重唱と二重唱、
この陶酔感がたまならい魅力。
大好きな「ばらの騎士」、
次回見られるのは2月のびわ湖ホール、
ホモキの演出が吉と出るか凶と出るか。
●ドレスデン国立歌劇場 R・シュトラウス「ばらの騎士」
'07.11.22NHKホール 座席 2階R12列9番
指揮:ファビオ・ルイジ
管弦楽:ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
合唱:ドレスデン国立歌劇場合唱団
演出:ウヴェ=エリック・ラウフェンベルク
元帥夫人:アンネ・シュヴァンネヴィルムス
オックス男爵:クルト・リドル
オクタヴィアン:アンケ・ヴォンドゥング
ファーニナル:ハンス=ヨアヒム・ケテルセン
ゾフィー:森麻季
マリアンネ:ザビーネ・ブロム
ヴァルツァッキ:オリヴァー・リンゲルハーン
アンニーナ:エリーザベト・ヴィルケ
元帥夫人の執事:ヘルムート・ヘンシェル
イタリア人歌手:ロベルト・ザッカ、ほか
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