オリヲン座からの招待状(三枝健起監督)
「オリヲン座からの招待状」を見てきた。
京都の映画館「オリヲン座」を、
昭和30年代から半世紀にわたって守り続けた男と女の物語。
心にしみた。
何度も泣けて仕方がなかった。
問題がない訳ではない。
トヨ(宮沢りえ)と留吉(加瀬亮)は
傾いたオリヲン座をどのように立て直したのかが
ほとんど描かれていないのは脚本の甘さか。
破綻寸前の良枝(樋口可南子)と祐次(田口トモロヲ)の関係が
あんなに簡単に元に戻るものなのだろうかも疑問。
しかしこの4人だけでなく、
映画館主・松蔵の宇崎竜童、
老いた留吉の原田芳雄、老いたトヨの中原ひとみら、
とにかく、役者がすべていいのだ。
抑え気味の味わいのある演技が、
この純愛映画を格調高いものにした。
印象に残る場面がたくさんある。
トヨと松蔵、留吉の3人が記念撮影をする場面、
捕らえてきたホタルを蚊帳の中に放った留吉の手をトヨが握る場面、
オリヲン座の最後の日、満席の観客席の前で挨拶をする老いた留吉、
どれもワタシにとってはツボ。
長まわしを実に効果的に使う監督の手腕も
忘れてはならない。
評価は★★★★★
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