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November 29, 2007

そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生/横石知二

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著者の横石さん、某業界では有名な人。
徳島県の山村、上勝町で、
落ちている葉っぱを商品化し、
市場に流通されるマーケットを開拓したのが
農協職員である横石さん。

商品は単なる葉っぱではない。
料理に彩りを添える「つまもの」である。
落ちていると葉っぱだが、
料亭に持ち込まれると1枚数十円の価値を持つようになる。
横石さんが地元のおばあちゃんたちをだましながら、
時には逆に励まされながら続けてきたことが花を咲かせた。

ここに書かれている経験の蓄積やノウハウを読んでいると実に楽しい。
そして他の多くの地域がこれを真似ようとしたが
誰一人として成功しなかった。
それは結局、その地域には横石さんがいなかったからだろう。

評価:★★★★

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November 28, 2007

オリヲン座からの招待状(三枝健起監督)

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オリヲン座からの招待状」を見てきた。
京都の映画館「オリヲン座」を、
昭和30年代から半世紀にわたって守り続けた男と女の物語。
心にしみた。
何度も泣けて仕方がなかった。

問題がない訳ではない。
トヨ(宮沢りえ)と留吉(加瀬亮)は
傾いたオリヲン座をどのように立て直したのかが
ほとんど描かれていないのは脚本の甘さか。
破綻寸前の良枝(樋口可南子)と祐次(田口トモロヲ)の関係が
あんなに簡単に元に戻るものなのだろうかも疑問。
しかしこの4人だけでなく、
映画館主・松蔵の宇崎竜童、
老いた留吉の原田芳雄、老いたトヨの中原ひとみら、
とにかく、役者がすべていいのだ。
抑え気味の味わいのある演技が、
この純愛映画を格調高いものにした。

印象に残る場面がたくさんある。
トヨと松蔵、留吉の3人が記念撮影をする場面、
捕らえてきたホタルを蚊帳の中に放った留吉の手をトヨが握る場面、
オリヲン座の最後の日、満席の観客席の前で挨拶をする老いた留吉、
どれもワタシにとってはツボ。
長まわしを実に効果的に使う監督の手腕も
忘れてはならない。

評価は★★★★★

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November 24, 2007

デリック・イノウエ指揮名古屋フィル定期演奏会

P席が手に入ったので、久しぶりに名フィル定期へ。
今回はワーグナーの管弦楽曲と、
そのワーグナーが影響を受けたというウェーバーの
クラリネット協奏曲というオール・ドイツ・プログラム。
ワーグナー好きにはたまらない曲がずらりと並んでおり、
開演前は期待半分、名フィルの金管ではなぁと不安半分。

結果は、予想以上によかった。
金管も大きなキズはなく、よく鳴っていた。
一方で、弦にもう少しがんばりが欲しかったなというのが本音。
次回は「ディアギレフが愛した男たち」と題し、
サティ、プーランク、R.シュトラウス、ストラヴィンスキーのバレエ曲を
矢崎彦太郎が指揮する。
何とか時間を作って足を運びたい魅力あるプログラムだ。

指揮のデリック・イノウエは初めて聴いた。
カナダ出身の日系人で、
メトロポリタン・オペラでレヴァインの助手を務めながら
毎シーズン、メトでも振っているようだ。
この日は指揮者の斜め正面から見ていたが、
丁寧な指揮ぶりで細かい指示も出していた。
イメージとしては、大阪フィルの常任、大植英次か。
何となく雰囲気も似ている。
 
●第341回名古屋フィルハーモニー交響楽団定期演奏会
 〜ドイツ・ロマン派オペラの確立と成熟〜
 '07.11.16 愛知県芸術劇場コンサートホール

指揮:デリック・イノウエ
クラリネット:エルンスト・オッテンザマー

ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
ウェーバー:クラリネット協奏曲第2番変ホ長調
ワーグナー:歌劇「タンホイザー」(パリ版)より
      序曲とヴェヌスベルクの音楽(バッカナール)
ワーグナー:楽劇「ジークフリート」より「森のささやき」
ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第3幕より
     第3幕前奏曲、徒弟たちの踊り、マイスタージンガーの入場

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November 23, 2007

反町ジャパン、五輪出場

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反町ジャパン、U22のサウジアラビア戦応援のため国立競技場へ。
五輪予選最終戦で、勝つか引き分ければ五輪出場が決定する大一番。
結果は0-0の引き分け、北京行きが決まった。

しかしサウジの攻撃は激しかった。
防戦一方の日本は水本らが体を張って頑張った。
ガチガチに守備を固めてカウンター勝負という
昔のスタイルとは全く違う、
これからも手強くなりそう。

日本は中盤でのルーズボールをことごとく奪われていたし、
水野や本田圭のサイド攻撃が機能していなかった。
これから北京の本番までに
どのようなチーム作りをするのか、
反町監督の手腕が問われるところだろう。

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November 20, 2007

ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団

ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団のコンサートを
名古屋で聴いてきた。

生ゲルギエフはもう10回以上だろうか。
特に昨年は、リングのチクルスを含めて6回も見ているのに、
このところ心に響いて来るものがない。
今回のプログラムはオール・ロシアもの。
今度こそはと期待して足を運んだ。

前半の白鳥とロメジュリは、
期待どおりのパワーあふれる演奏に圧倒された。
特にロメジュリ、
第1曲はソフトバンクのCMでお馴染みの
「モンタギュー家とキャピレット家」、
ダイナミックにオケを操ったかと思いきや、
第2曲では美しいピアニッシモの弦の響き。
ラストの「ティボルトの死」まで、
ゲルギエフの作り出す世界に酔った。

休憩後のハルサイ、これが期待はずれ。
確かにパワーはすごい。
しかしCDほどのリズムの切れ味がない。
最後まで違和感が拭い切れず、不完全燃焼のうちに曲が終了。
ゲルギエフだけに高望みし過ぎているのかもしれないが、
彼のハルサイはこんなものではないはず。
いつかもう一度聴いてみたいものだ。

●ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団
 '07.11.6 愛知県芸術劇場コンサートホール

チャイコフスキー:バレエ組曲「白鳥の湖」より
 情景
 ワルツ
 四羽の白鳥たちの踊り
 情景
 ハンガリーの踊り/チャルダッシュ
 情景(ロットバルトの死)
プロコフィエフ:バレエ組曲「ロメオとジュリエット」より
 モンターギュ家とキャピュレット家
 少女ジュリエット
 僧ローレンス
 メヌエット
 仮面舞踏会
 別れの前のロメオとジュリエット
 ティボルトの死
(休憩)
ストラビンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
(アンコール)
リャ-ドフ:バーバ・ヤーガ
チャイコフスキー:「眠れる森の美女」より「ワルツ」

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November 18, 2007

いい子は家で/青木淳悟

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表紙の楽しいイラストにつられ、
青木淳悟の「いい子は家で」を読んだ。

父、母、兄、弟の四人家族で、
大学生の弟が家族やマイホームについて観察した記録、
という説明でいいのだろうか。

この本、結構評判が高い。
楽しみにしていたのだが、
何ともヘンテコリンな話、まったく理解不能。

ブログはどうしようか迷った。
まあ、記録を残すという意味で書き記しておこう。

評価:★

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November 16, 2007

ヘアスプレー(アダム・シャンクマン監督)

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人気ミュージカルを映画化した「ヘアスプレー」を見てきた。
当然のことながら音楽が素晴らしい。
名曲ぞろいで、しかも覚えやすく、
終演後、口ずさめそうな歌ばかり。
10人中9人が楽しめた、と答えるだろう。

ただ映画の評価となると迷う。
それは、ママ役のジョン・トラヴォルタを認めるか否かに尽きる。
ワタシはダメ。
気分が悪くなった・・・

おちゃめなダディ、クリストファー・ウォーケンと
怖〜い女性部長、ミシェル・ファイファーはさすがベテラン、
最高の演技だった。

評価:★★★

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November 14, 2007

来たー、再演「トーキョーリング」

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新国立劇場の'08/'09シーズンの演目が発表になった。
あのトーキョーリングが再演されるという。
ワーグナー作曲 楽劇「ニーベルングの指環」のうち
序夜「ラインの黄金」、第一夜「ワルキューレ」を09年3月、4月に、
第二夜「ジークフリート」、第三夜「神々の黄昏」は
その翌年に上演されるらしい。

01年から年1本ずつ4年間掛けて上演されたトーキョーリング。
「ワルキューレ」と「神々の黄昏」を見ているが、
ポップなステージデザインとキース・ウォーナーの斬新な演出で、
十二分に楽しませてもらった。
あと2作を見ればチクルス完成。
でもチケット取るの大変だろうな、たぶん。

そういえば新国立劇場のアイーダ、
来年再々演されるが、チケット発売は12月。
これもプラチナチケットとなるのは確実。
ただ、ゼフィレッリが監督した豪華絢爛の舞台美術は一見の価値あり。
もう2回見ているが、今回もチケット争奪戦に参加する予定。

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November 10, 2007

イルミネーション点灯式

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岐阜駅の「イルミネーションフェア点灯式」に行ってきた。
会場は駅前の高層マンション「岐阜シティ・タワー43」の
デッキ上の特設ステージ。
長女の所属する高校ブラスバンド部が2曲演奏した後、
関係者やアンジャッシュの2人による点灯式が行われた。
「せいのっ!!」でスイッチ・オン、
どんなイルミネーションが見られるかと思いきや、
え、なに、これ、これだけ?うそ・・・

というわけで、余りにもpoorな装飾に、
失望というより、怒りを感じた。
問題は、イルミネーションの数が少ないのと、配色のセンスの悪さかな。

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November 07, 2007

中島みゆきコンサートツアー2007

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中島みゆきコンサートを、名古屋市で見てきた。
休憩なし、約2時間半の圧倒的なステージに体じゅうが震えた。

今でも活動を続けている70年代のフォークシンガーは少なくない。
しかしその多くが過去を捨て方向転換をしたり、
昔の名前で出ていたりしているのに対し、
彼女は、デビュー当時から貫いているものがあると感じさせる
数少ないシンガーである。

前半に歌われた「 あなたでなければ」や「蕎麦屋」は、
そのまま70年代のフォークソングの味、
懐かしさで胸が一杯になってしまった。
ほかにも「糸」「ララバイSINGER」最新の「一期一会」など、
心に響く曲が次々に歌われていった。

「ファイト!」はサビの部分がCMで使われ、
また、拓郎などにカバーされ有名になった曲。
中島みゆきの歌い方は独特で、
3分ほどの曲なのに、まるで一幕の芝居を見たかのよう。
圧倒的な歌唱力に号泣してしまった。

この日の中島みゆきコンサートは、
ここ10年の間に見てきた、聴いてきた、
すべてのジャンルの音楽の中でも
最高のライブ、パフォーマンスだった。

最後に中島みゆきが観客に語りかけた言葉
「同じ時代に生まれてくれて、ありがとう」
同じ言葉を、この希代の歌姫に送りたい。

●中島みゆきコンサートツアー2007
'07.10.30 中京大学文化市民会館

1. 御機嫌如何
2. 1人で生まれて来たのだから
3. あなたでなければ
4. 一期一会
5. EAST ASIA
〜おたよりコーナー1〜
6. 蕎麦屋
〜おたよりコーナー2〜
7. 糸
〜おたよりコーナー3〜
8. ララバイSINGER〜アザミ嬢のララバイ
9. 宙船(そらふね)
10. 昔から雨が降ってくる
11.唇をかみしめて(吉田拓郎の曲)
12.ファイト!
13. 誕生
14.ボディ・トーク
15. I Love You 答えてくれ
16. 重き荷を負いて
(アンコール)
17. 本日、未熟者
18. 地上の星
19. 背広の下のロックンロール

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November 04, 2007

大道芸ワールドカップin静岡

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静岡市内で開催されている「大道芸ワールドカップ」を見てきた。
今年で16回目を迎え、
23カ国から89組154人が出場。
さまざまな分野のストリートパフォーマーが集まっており、
大道芸という枠を超えた
パフォーミングアートの祭典となっている。

一昨年見に行って、その質の高さに驚き、
ぜひ来年もと思っていたのだが、あいにく仕事が入ってしまった。
で、今年は半年前から計画し、
前の職場のメンバー6人で泊まりがけで行ってきた。

パフォーマーと観客が一体になると
こんなにパワーが生まれるんだと実感。
感動、感動の2日間だった。
詳しくは写真を見てもらうとして、
見たパフォーマンスを忘れないよう以下に記しておく。
私のツボにハマったものに◎と○を付けておく。

 サンキュー手塚
◎デビッド・ラムゼイ
○王輝
 ダメじゃん小出
○ハットジャグラーJAY
○が〜まるちょば
◎パヴェル&マルティナ
○ストリートビート
◎ニーニョ・コストリニ
 ポパイ
 BAM
 イザベラ・バセンドブスカ
◎ファニーボーンズ
 YEN TOWN FOOLs
 カナール・ペキノワ
◎トニー・フレバーグ
◎アントワーヌ・エロコ
○KIKYO BROTHERS
 くるくるシルク
○モノジャグリングショー・タック!!
◎山本光洋

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November 02, 2007

アンヌ隊員が主役の映画

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ウルトラセブンのアンヌ隊員こと、ひし美ゆり子
久しぶりに映画出演する。
しかもヌードになるというのだから、
テレビにかじりついて見ていた世代としては、ちょっとしたニュース。

もうすぐ公開される「真・女立喰師列伝」、
オムニバス形式となっており、
第1話で主役を演じるのがひし美ゆり子。
若いころは、ピンク映画にも出ていたし、
ヌード写真集も出版されていたはずだが、
60歳という年齢を考えると、
よく思い切ったものだ、本人も、監督も。

聞くところによると、押井守監督は
アンヌ隊員の熱狂的ファンだという。
どんな作品に仕上がっているんだろうか、楽しみ。
でもこちらでの公開は年明けらしい。

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November 01, 2007

神田川デイズ/豊島ミホ

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豊島ミホの「神田川デイズ」を読んだ。

東京の大学、たぶん早稲田を舞台に、
さえない学生たちの青春を綴った短編集。
主人公はそれぞれ違うものの、
登場人物が別のお話に顔を出すなど、
作品全体がゆるやかにつながっている。

学生らしく遊び回っているのではなく、
だからといってガリ勉でもなく、
目標を持たず、どこか冴えない連中ばかり。
思い返すと30年前、ワタシも同じような環境にいたわけだが、
こんなにもクラくなかった(と思ってる)。
結局、全編共感できずに読み終えてしまった。

装丁は抜群にいい。
イラストレーションは太田マリコ、
ブックデザインは鈴木成一デザイン室、
面白いイラストが目を引く。

評価:★★★

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