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October 20, 2007

麦の穂をゆらす風(ケン・ローチ監督)

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ケン・ローチ監督の「麦の穂をゆらす風」を見てきた。
'06カンヌ国際映画祭のパルムドール(大賞)受賞作だが、
期待どおりの傑作だった。

1920年代のアイルランドが舞台、
英国からの独立戦争が次第に内戦に移っていく様子を、
デミアンとテディーの兄弟を中心に描いている。

医師を志していたデミアン(キリアン・マーフィー)、
その夢を捨て、兄テディたちにより結成された義勇軍に身を投じていく。
彼らのゲリラ戦は,圧倒的な勢力を誇る英国軍を苦しめ、
停戦そして講和条約にこぎつけることができた。
しかし今度は独立のあり方を巡り、支持派と反対派が対立、
やがて同胞同士が戦う内戦へと発展する。
そして主人公デミアンとテディーの兄弟にも、
悲痛な運命が待っていた・・・

映画というよりドキュメンタリーに近い。
あまりに悲しく、あまりに虚しい。
どこでボタンを掛け違えたのか、
泥沼のような内戦の様子を見ながら、
ほかに方法はなかったものかと、
運命の残酷さを感じた。

仲間同士で殺し合う、兄弟同士で殺し合う、
こんな悲しいことって他にあるだろうか。
「誰のために戦うのか、何のために戦うのか」との問いに
答えは出て来ない。

評価:★★★★★

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Comments

るーかすさん、お久しぶりです。「麦の穂をゆらす風」良い映画でしたね。独立という理想で団結していた人たちがどうして、殺しあうほど対立するようになってしまったのか。しかも兄弟同士で・・・。アイルランドの風景が悲しいほど美しい映画でした。ところで先月「オフサイドガールズ」というイラン映画を見ました。イランでは女の子はサッカースタジアムに入れないんです(その理由は笑っちゃいますが)でもテレビの中継じゃつまらない!私たちもスタジアムで試合を観たいの!サッカー大好き少女たちが男装して、スタジアムに潜入します・・・。女の子たちが元気でキュート。サッカーファンのるうかすさんだったら、2倍楽しめる映画だと思います。レンタルビデオ屋さんに出たら、ぜひ見てくださいね♪今月はバッハコレギウムジャパンの「ロ短調ミサ」をしらかわホールで聞きました。BCJは、鈴木先生もアンサンブルも絶好調って感じでした。より深く、より厚く、より密度の濃い響きです。しらかわホールのような小規模のホールで、BCJの良さが最大限に発揮されたと思います。特にバッハのポリフォニーな響き、最後の一音が天井に吸い込まれて、消えて、会場全体がピシッとなる、あの拍手の前の一瞬。やはりバッハはこうでなくては!ライブの醍醐味ですね。長々と失礼いたしました。では、また♪

Posted by: マグダ | October 25, 2007 09:43 PM

マグダ

こちらこそお久しぶり。

「オフサイドガールズ」、覚えておきます。

BCJは、ヘンデルの「メサイア」以降、生で聴いていません。
もう5年以上前のことです。

しらかわホールはいいですよね。
大好きなホールのひとつです。
次回は、ヴァレリー・アファナシエフの
リサイタルに行こうと思ってます。

Posted by: るうかす | October 27, 2007 10:51 PM

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