浅草色つき不良少年団/祐光正
祐光(すけみつ)正の「浅草色つき不良少年団」を読んだ。
第44回オール讀物推理小説新人賞受賞作。
大正末期から戦前の昭和、
大歓楽街であった浅草を舞台に、
不良少年団「浅草黄色団」に起こった出来事を描く連作短編集。
当時浅草には3つの不良少年団があった。
女装の麗人「冬瓜の百合子」率いる「紅色団」、
相当な悪の集まり「黒色団」、
そして似顔絵ジョージ率いる「黄色団」。
関東大震災や東京大空襲で街の姿が大きく変わる時代に
彼らはたくましく生きていた。
そして巻き込まれる数々の事件。
密室殺人事件、幽霊騒動、
あるいは瓶詰めにされた少女が消えてしまうというような、
まるで少年探偵団や明智小五郎が出てきそうな事件の
謎解きがされていく。
作品全体をノスタルジックな香りが包む。
トリックは大したことないが、
雰囲気に酔いながら一気に読み終えた。
書き手であり、漫画家の私が、
昭和の終わりに知り合った黄色団の頭目「似顔絵ジョージ」こと神名火譲二氏から、
昔話を聞き出すという構成も、本当にうまい。
続編もきっと出てきそう。
評価 ★★★★☆
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