吉原手引草/松井今朝子
松井今朝子の直木賞受賞作「吉原手引草」を読んだ。
この作家の作品は初めて。
吉原で花魁(おいらん)の葛城が突然失踪した。
越後の縮問屋への身請け話も決まっていた、
絶頂のときに、彼女に何が起きたのか。
失踪の原因について、ある男が次々に
聞き込みをしていく形で物語は進む。
証言が重なっていくたびに、
少しずつ謎が解けていく。
そして最後に明かされる葛城失踪の原因とは・・・
探偵小説を読んでいるようなわくわくした気分で
一気に読み終えた。
手引草とは、その名のとおり
手ほどきをする書物という意味だろう。
引手茶屋のお内儀がまず、吉原の仕組みを説明してくれる。
そして、見世番、遣手婆、床回し、幇間(たいこもち)、
芸者、船宿の船頭、指きり屋、女衒(ぜげん)など、
吉原を構成する人たちが次々に登場し、
読者は吉原の全体像を理解することができる。
これであなたも吉原通、といったところか。
しみじみとした情感もたまらない魅力。
この作家の他の作品も読んでみたくなった。
というわけで、文句なく面白い作品。★★★★★
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