魔笛(ケネス・ブラナー監督)
モーツァルトの傑作オペラ「魔笛」の映画化。
ほとんどカットなし、原曲どおりに進行するというので
見るまでは楽しみ半分、不安半分だった。
聴き慣れた序曲が流れてくると、いきなりぶっ飛んだ。
何と舞台設定は戦争、しかもモーツァルトの時代ではなく
第一次世界大戦のころか。
ただし、世界が二極に分かれての戦いではなく、
小国同士の戦いであることが分かる。
タミーノやパパゲーノが塹壕の中で歌い出す、
さらには、看護婦姿の三人の侍女が登場する。
彼女たちが妙に色っぽい、
途中で上着を脱いで胸部を露出する場面にはどきっとした。
夜の女王は、げっ、戦車の上に乗って登場し、
1曲目のアリアでは横顔の鼻から下がどアップ、
口をパクパクさせる背景には、おもちゃのような戦車が走り回っている。
2曲目の復讐のアリアでは、空をものすごいスピードで飛びまくる。
腹を抱えて笑ってしまった。
本来は笑う場面ではないのだけれど。
もともとこのオペラはストーリーが破綻しているのだから、
これくらいのお遊びをしても全然違和感を持たなかった。
エンディングは余りに自然というか、予想通りだったが、
まあこんなものかと納得。
一番、おかしいなと感じたのは、
モーツァルトの繊細な音楽が、
ずっとDOLBYサウンドの大音響で聴こえてきたことと、
歌詞が英語であったこと。
これは映画だと割り切れば大したことではない。
というわけで、映画「魔笛」をワタシ的には十分に堪能した。
5段階評価は満点の★★★★★
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